私は、20代後半の主婦です。
家事をこなしながら、家業のキャベツ栽培を手伝う毎日。
主人と義理の父がメインで作業を行っていますが、手が足りない時は農場へ行って、収穫などを手伝っています。
いつ呼び出されてもすぐ農場へ行けるようにと、一日のほとんどを汚れてもいい作業着で過ごしています。
しかし、ホームセンターなどで売っている作業着は男性向けのものが多く、重さもあり、着ているだけで疲れが倍増する気がします。
また、作業着のまま朝市や近くの商店まで出掛けることもあるので、身だしなみにも気を使いたいのです!
軽くて動きやすい、女性向けの作業ファッションのブランドを教えていただけないでしょうか?
できれば、買いに行く時間がないので、通販で買えるものだとありがたいです。
(愛知県・木村さん/仮名・20代)
小川繁幸
東京農業大学 准教授
トレンドのワークウェアを取り入れたファッションがおすすめ
「農作業着」とネットで検索しても、これぞという素敵な作業を見つけるのは至難の業ですよね。ネットで検索する際は、「作業着」ではなく「ワークウェア」で検索してみてください。
いまファッション業界では「ワークウェア」がひとつのトレンド(流行)として注目を集めており、さまざまなアパレルメーカーが商品開発に取り組んでいます。
これまで農業において、縁遠いものだった「オシャレ」や「ファッション」。作業着を購入する農家がデザイン性を求めてこなかったので、作業着メーカーも可愛いもの・かっこいいものを作る必要がなかったというのが実情です。
しかしコロナ禍の影響もあり、運動や農業に取り組む人が増えました。そのため、ジムや農作業の帰りにそのままカフェへ寄れるように「動きやすい×機能的×オシャレ」なファッションがトレンドになっているのです。
さらにここ数年、消費者はモノの情報(規格など)ではなく、ヒトの情報(誰が作ったのか)を重要視して食材を購入するようになりました。食材の美味しさだけではなく、その背景にある作り手のイメージが重要な要素となってきたのです。
実際に百貨店やスーパーを見ると、パッケージに生産者の顔が載った農作物がたくさん並んでいます。ということは、今後生産物のイメージを高めていくためには、素敵な農家であることをアピールしていく必要がでてきたということです。
質問者さんのようにファッションから始めることも、ブランディング(商品のブランドを作るための活動)につながる大事な一歩なのです。
私自身も今「農業×ファッション」に注目し、農業の新たな価値創造を目指して、さまざまなアパレルメーカーとワークウェアを共同開発しています。
例えば、ドリームワークス株式会社がプロデュースするアメリカのワークウェアブランド「Universal overall」とコラボレーションし、コーチジャケットを開発しました。
女子学生の意見を積極的に取り入れつつ、ポケットのサイズや位置、丈の長さなど、すべて農作業のシチュエーションをイメージして、理屈と機能美にこだわりました。
通常は付いていない内ポケットがあったり、しゃがんでもお尻がでないようにジャケットの丈をオーバーサイズにしたり、蚊取り線香をつけるためのフックを設けるなど、こだわり満載です。
農業の作業着が、かつてのジーンズのように、ファッションのトレンドとして、農業の壁を越えて普及していき、ファッションを通じて農業に関心を持ってもらったり、あこがれの職業としてより農業が輝いていく世界を創出していきたい。
そんな世界の主人公は、もちろん農家の皆さんです。これまでの農業の価値観を超えていけば、その可能性は無限大です。
山田まき
畑乃家 店長
女性向けの農作業着やアウトドアブランドの商品がおすすめです
男性用の作業着は重くて動きづらいうえに、暑い季節には体調にも影響するので、女性農業者が服装を気にされるお気持ちはよくわかります。
例えば、女性向けの農作業着ブランド「のらスタイル」の「ウレタンコーティング背抜き袖付き手袋」は、「腕カバーのすきまが日焼けしたり、枝が引っかかってケガをする」「手袋と腕カバーを縫い合わせたものを作って欲しい」といった農家さんの声から生まれた商品です。
また、夏場や暑い環境での作業は、アウトドアブランドがおすすめです。
通常だとTシャツ+腕カバーのシンプルな組み合わせになってしまいがちですが、「LOGOS(ロゴス)」や「OUTDOOR PRODUCTS(アウトドアプロダクツ)」といったアウトドアブランドは、軽量で動きやすいものが多いうえ、カラフルな柄デザインで見た目も可愛らしいんです。
ぜひ、農作業時のファッションに取り入れてほしいです。