京都府で農家をしています。しかし、まだ新規で就農したばかりなので、規模は30アール程度です。
私の畑はもともと7ヘクタール程の大規模な圃場で、管理していた農家さんが、規模縮小するということで、30aアールだけ貸してもらいました。
土質は表面がさらさらとしていて、良い状態なのですが、雨が降ってしまうと、水たまりがあちこちにできてしまいます。
もともと管理していた農家さんが、かなり大型のトラクターやコンバインを入れてしまっていたので、土壌圧縮が進み、水はけが悪く根張りも悪い土壌になってしまったのではないかと思います。
圧縮された土壌を改善する方法はあるのでしょうか?
(京都府・古田さん/仮名・30代)
鈴木雅智
ブロ雅農園
土壌圧縮にはソルゴーなどの緑肥がおすすめです
こんにちは。神奈川県で多品目を栽培しているブロ雅農園の鈴木と申します。大学時代は土壌学研究室で土の研究をしていました。
地域によって土壌のタイプは違うと思いますが、質問者さんの参考になればと思います。
ちにみに、私の地域(神奈川県三浦半島)は「黒ボク土」か多く、物理性は最高によくフカフカしていますが、化学性においては弱いタイプの土壌です。
土壌圧縮にはさまざまな理由があります。
以前は大型トラクターやコンバインを入れていたということですが、それ以外で可能性があるのは「有機質が少ない」ということと「化成肥料中心の畑だった」ということです。
土壌が固い場合、定番の対応方法は硬盤破砕・心土破砕ですが、根本的な解決にはならない場合もあります。
お金を比較的かけずに有機質を補充し、硬い土壌を改善する方法は「緑肥」がおすすめです。
地域によっては農協から補助金が出る場合もあるので調べてみてください。
緑肥にも色々ありますが、今回の場合、おすすめなのは「ソルゴー」というタイプの緑肥です。根を深く張るので、硬い土を砕いてくれますし、有機質の補給にもなります。
夏場は、葉を切って作物の間に敷けばマルチングにもなりますし、バンカープランツとして益虫の集まる場所にもなります。
また、枯れた後は、細かくすき込むことによって土壌中の有機質を増やします。
背の低い「三尺ソルゴー」もあれば、2、3mほど大きくなって、防風効果もある「ウインドブレイク」という品種もあるので、用途によって使い分けてください。
基本的には、放置で構わないため手間はかかりません。また、むき出しの土壌にならないので、強風による土壌の流失なども防げます。
一方で4点ほど、リスクもあります。
リスク1:まず根をしっかり張らせることから栽培期間が長く、その間は他の作物がつくれません。1年で一気に緑肥を植えるのではなく、半分ずつやるなどの方法をとる事もおすすめです。
リスク2:次に、草丈がそれなりに高くなるので、道路のキワに栽培すると、道やカーブが見えなくなるといった場合があり、周囲に迷惑をかけない場所であるかどうかを確認したうえで植えてください。
リスク3:強風が吹くと倒れるので、隣の畑と隣接している場合は、緑肥が隣に入り込む場合があることから、少し間隔をあけるなどの対応も必要な時があります。
リスク4:根がかなり張るので、早く片付けたい場合は苦労することもあります。ただ、寒さ(霜)には弱いので、時期さえ間違えなければ、簡単に片づけられます。
水はけについては、有機質が土壌に増えることによって多少は改善されますが、それでも難しい場合は「暗渠」を掘るしかありません。
大規模工事をすればもちろん効果は高いですが、工事費も高くなります。個人ではトレンチャーなどを使って深く溝を掘る場合もありますが、機械が必要です。
比較的、簡単にできることは、溝を掘り、外部に水を逃がす方法ですが、土壌が流失することにより、他の畑への被害を出さないように気を付ける必要もあります。
または、作付けする野菜にもよりますが、高畝にすることによって被害を減らす対応もよくします。
水切れが早くなるなどのリスクもありますが、水か溜まってしまうような場所ではあらかじめ高畝にすることをおすすめします。