滋賀県にて、妻と両親に手伝ってもらいながら小規模農家を営み、大豆や葉物野菜などを生産しています。
自分は50歳手前ですが、健康で気力も充実しており、両親はどちらも80歳と高齢ですが、まだまだ現役で、ほぼ毎日畑に出て農作業をしています。
自分は一度会社員になりましたが、手に職をつけたくて、親の跡を継ぐ形で就農しました。
しかし、自分だけ忙しいのならよいのですが、繁忙期は家族も過労状態となり、心苦しいのです。
「家族だからといって、際限なく仕事を頼んでしまうのはダメ」とわかっていますが、やることは毎日山積みなので家族の手伝いは欠かせません。
家族にストレスや負担をかけたくありませんが、よい仕事がしたいです。みんなが円満に続けていくためのアドバイスを聞きたいです。
(滋賀県・杉田さん/仮名・49歳)
高田裕司
日本プロ農業総合支援機構(J -PAO)上席コンサルタント
理想を描き、話し合い、行動しましょう。家族の力を借りることが大切です
ポイントは3つあります。1つ目は、みんなが円満に仕事をしている状態と、今とは何が違うのかを明確にすることです。2つ目は家族みんなで話し合うことで、3つ目は、何らかの行動(変化)を始めることです。
ご両親とご夫婦での作業が、繁忙期に特に大変になるとのこと。いけないとわかっていながら「きつい言葉」をかけてしまい、後悔する姿が目に浮かびます。みんなが円満に農作業を続けている状態とは、みんながどのようになっているのでしょうか?
ご両親もご家族も長年農作業をされているので、繁忙期の忙しさは納得されているのかもしれません。すると円満な状態と今とでは何が違いますか?その違いを明確にしたうえで、どのようになればよいのかを家族みんなで話し合ってみましょう。
「これほど忙しくはなかった。年間を通じて作業を減らさないとやっていけない」ということであれば、
・繁忙期をなくして平準化できるように栽培品目や品種、種まきの時期を工夫する
・繁忙期は人を雇う
・機械や道具を導入する
・出荷時の作業を簡略化する
・朝礼などで1日・週・月単位のスケジュールを共有
が思い浮かびます。
「皆がしている作業が連動していないのでイライラする」ということであれば、お互いの作業予定や内容を共有する必要があるのかもしれません。いずれにしろ、対策はおひとりだけで考えるのではなく、家族の力を借りて、相談しながら対策を考え、そしてやってみる。そういう手順を踏むことで、結果としてみんなが円満につづけていくことができるのではないでしょうか。
農業女子プロジェクト
農林水産省
家族経営協定という制度があります!配偶者や後継者にも主体性を持ってもらいましょう
「家族経営協定」を結んでみてはいかがでしょうか?
家族での農業経営は経営主だけでなく、配偶者や後継者にとっても、魅力的でやり甲斐のあるものにするためには、家族みんなが主体的に経営に参加でき、意欲と能力を存分に発揮できる環境を整備することが重要です。
目指すべき農業経営の姿や、家族みんなが意欲的に働くことが出来る環境整備について、家族間で十分に話し合うことが、農業経営の改善につながります。