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障がい者の雇用にあたって専用の就業規則を作った方がよいですか?

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障がい者の雇用にあたって専用の就業規則を作った方がよいですか?

小松菜とほうれん草を水耕栽培しています。

最近、近くの社会福祉法人と提携して、知的障がい者を試験的にパートとして雇用してみました。

やるべきことを具体的にしっかり伝えれば、パック詰めなどは丁寧すぎるほどに慎重に仕事をしてくれます。

慣れるに従って仕事のスピードもアップし、健常者と比べてもほとんど変わらないので、とても助かっています。

今後、ハローワークを通じて正式に正社員として雇用したいと思っており、場合によっては人数を増やしていくことも考えています。

正式に雇用する際には、障がい者向けの就業規則として、就業時間や賃金、就業時の基本事項などを定めた方がよいでしょうか?

それとも、社員やパート向けに作った就業規則に、追加して盛り込む形でもよいのでしょうか?
(埼玉県・小林健児さん/仮名・50代)

伊藤文弥

NPO法人つくばアグリチャレンジ代表理事

雇用する障がい者の数があまり大人数でなければ、就業規則を作る必要はありません

最初にお断りしておくと、僕は福祉事業の運営をしているので障がい者雇用を行っていますが、障がい者雇用の専門家というわけではないので、もしかすると僕より回答するのがふさわしい専門家がいるかもしれません。

今回の相談は、パートの状態からハローワークを通じて正式に雇用したいという内容ですが、そもそも、パートで働いている人が、その会社の求人に改めて応募することは、ほとんどいないのではないかと疑問に感じます。

現実的には、契約内容を見直して、求人形態をパートから正社員に転換するほうが自然ではないでしょうか?

厚労省が雇用主に対して行っている助成金制度の一つに、「特定求職者雇用開発助成金(特定就職者困難コース)」という制度があります。

これは60歳以上の高齢者や母子家庭、障がい者などといった就職困難者が、ハローワークなどの紹介によって雇い入れる場合、一定金額を助成するものです。

この制度は、雇用主である企業に、これまで会社都合で退職した従業員がいないとか、社員として契約する際に、無期限で継続して雇用するなどの前提条件があります。

しかし、障がいの有無に関わらず、正社員として雇用するまで、数カ月間など、ある程度一緒に働いてみないとお互いに見えてこないものもありますから、僕個人としてはオススメしません。

そのため、これから障がい者を正社員として2、3人増やそうという場合は、このご相談者のように、一定期間一緒に働いた上で、契約を結ぶのがいいと思います。

こういった理由からも、今までアルバイトでAさんを雇用していた企業が、ハローワークに求人を出し直して、正社員として「特定就職者困難コース」の助成金を申請するというのは、現実としては難しいのではないかと考えています。

また、これは障がい者雇用に限った話ではないのですが、アルバイトなどの非正規労働者を正社員化、処遇改善の取り組みを実施した企業に対して助成するための「キャリアアップ助成金」という制度がありますので、正社員化を支援するコースを選ぶのも一つの方法だと思います。

さてここからが本題ですが、正社員化にあたって障がい者向けの就業規則を設けた方がいいか?というご相談ですが、障がいを持つ従業員と、健常者向けの就業規則を別々に設けるというのは、あまり聞いたことがありません。

正社員と、パート・アルバイトで就業規則が分かれているのは珍しくありませんし、僕らのような障がい者福祉関係団体であれば、仕事の内容によって、グループホームと就労支援施設で就業規則が分かれているということはありえますが、障がいのある人だけの規則を作っているケースは聞いたことがありません。

企業規模や雇用する障がい者の数があまり大人数でなければ、分ける必要はないのではないでしょうか?

参考までに、厚労大臣からの認定を受けて、障がい者雇用に特別の配慮をしている「特例子会社制度」という制度もあります。

これは、一般社員と障がい者で就業規則を分けるのが難しいので、障がい者を雇用する子会社として分けることで、グループ全体の雇用として算定する制度です。

そういった大人数を抱えている企業でない限りは、就業規則で明記していくより、制約のゆるい社内規定で対応すればいいのではないかと思います。

あとは、「正社員として雇用したうえで、就業規則を変えた方がいいのか?」とおっしゃっていますが、そもそも、「どうして正社員として雇用したいと考えているのか?」という点がポイントになります。

例えば、「パートの障がい者の給与をもう少し上げてあげたい」ということならば、正社員でなくても時給を上げることは可能です。

また「契約期間を長期で結んであげたい」ということであれば、無期雇用ということになると思います。

どう言ったことができるようになればいいのか?というのは、障がいがある人たちがどういう状態であれば嬉しいのかを話し合いながら、決めていけるといいんじゃないかなと思います。

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