岡山でウナギの延縄漁をやっています。
ときどき仕掛けも使って獲るのですが、最近川に仕掛けたウナギ籠が無くなることがありました。
この間、雨が降り続いて川が増水したので、その影響で流されたんだろうと思っていたら、友人から「それは盗難されたのではないか?」と言われました。
その友人も、竹筒を使ったウナギ筌(うけ)を作り、ときどき川に仕掛けているのですが、中身だけならまだしも、竹筒ごとなくなっていることがたまにあるそうです。
そう考えると、私の籠も盗まれたのではないかと思うようになりました。
こうした籠の盗難を防ぐ良い方法はないでしょうか?
(岡山県・三宅大河さん/仮名・40代)
内田雅貴
うなぎ水産 代表
ウナギの延縄漁の籠は、仕掛ける方法に工夫を!技術改良とともに、関係機関との連携も大事です
ご質問者は、おそらく図1か図2のような仕掛けで漁をされているのではないかと思います。
図2の場合だと、フロートの色や大きさを変えることによって発見されにくくなることがあります。僕が仕掛けている川の色の場合、明るい時間帯は黒色の方が目立つので、白色を使うと効果があります。
大きさに関しては、小さい方が目立ちにくいということもありますが、海や川には波があるので、なるべく高さのないものを使うとかなり目立ちにくくなります。素人の犯行である場合には、以上の方法でかなり効果があると思います。
同業者の場合、相手は海や川を熟知していますので、図3の方法が有効だと思います。この場合、自分自身も仕掛けの場所がわからなくなってしまいますので、図4のように目印の建物か目印のフロートまでの距離をしっかりと体で覚えておく必要があると思います。
僕も仕掛けやうなぎは何回も盗まれましたが、改良を加えてからは盗難が無くなりました。
注意点ですが、水深や海・川の透明度によっては、仕掛け方に改良が必要な場合もあります。また、都道府県や漁協によって決まりや定款が違いますので、決まりや定款を調べた後で参考にしていただければと思います。
もうひとつ重要な点ですが、僕の経験上、漁業界は陸上の世界とは違って防犯カメラもないですし、監視の目がないモラルが重視される世界、言い方は悪いですが、時代が遅れた価値観の世界だと思っています。
しかし、それは逆に言うならば、ルールや法律だけではなく、慣行などが通用する部分もある世界だともいえます。
ですので、漁協や役所の水産課、海上保安庁など連携可能な方々と普段から連携をとれるようにしておくことによって、長い目でみて、よりよい漁業環境をつくっていくことに繋がると思っています。
そのメリットとしては、漁師がやりやすい環境を整備する際に協力をしてもらえること。その結果、同業者が悪いことをしにくい環境ができること。
また、それぞれの海や川に適したアドバイスが得られたり、その方法を見つけたりすることができることです。このようにメリットが思いのほか大きいです。
お金に対する執着心の強い人に妬まれてしまうと、技術の改良だけではイタチゴッコになってしまう場合もあります。したがって、技術の改良とともに連携できるチームを持つことも、両方ともすごく大事だと実感しています。
少しでもご参考にしていただければ幸いです。