福井在住の漁師仲間から「みずべこ」という魚の干物をもらいました。
三枚おろしを干物にしたもので、まるまる1匹分が真空パックになっています。
私たちの地域だと「げんげ」と呼んでいる魚だと思いますが、水分が多く、プルプルの魚です。
焼くと、そのプルプル感が戻ってとても美味しく、こうした干物の美味しさを閉じ込めた真空パックの技術にも感心しました。
この体験から、普段鮮魚で販売している魚を干物にして、真空パックにしたら店頭に並ぶ期間も長くなり、また通販したりすれば収入アップにつながるのではと思いました。
真空パックにすれば、冷蔵でも保存期間が2日ほど伸び、冷蔵では1、2年ほどは保存が効くと聞いています。
真空パック機を導入して干物にした魚を製品化する場合、製品化にあたって保健所への許可申請などの手続きはおおよそわかるのですが、真空パックの機種を選ぶ際のポイントを教えてください。
また、干物を真空パックにする場合に注意すべきことはありますか。
(宮城県・菅原真由美さん/仮名・40代)
野村明
土佐清水食品 相談役
脱気状態や包装フィルムの種類に合わせてシール温度や時間が設定できる機種にしましょう
真空パックの利点は、乾燥を抑えることだと思います。
真空とはいっても、実際には脱気による包装で、真空になっているわけではありません。
雑菌の繁殖による腐敗を防止したり、うま味を保持したりできるのは、冷蔵または冷凍によるところが大きいと思います。
真空パックだから腐敗しなかったり、うま味成分が保持されたりするわけではありません。
それはあくまで保存温度によるのなのです。
ただし、真空によらずとも、パックをすることによって他の食品との接触をさけられたり、2次汚染を防止できたりしますので、それにより品質保持期間は延長されるかもしれません。
また、パックすることでフィルムとの付着面がツヤが出て見えますので、高価でおいしそうに見えるのも確かだと思います。
真空包装機の選び方に関してですが、業務用で高度なもの(価格が高くなるほど)は、必要な脱気状態や包装フィルムの種類に合わせて、シール温度や時間を機械で変えることができます。
そうすると、干物の状態に合わせて真空包装をすることが可能になります。
また、注意すべき点としては、干物の乾燥状態にもよりますが、一夜干しのように水分の多いものの場合には、肉の筋原繊維タンパク質が溶けて肉糊の状態になっているため、脱気包装するとフィルムに付着することです。
そのため、取り出し時には、冷凍状態ならば袋に付着しませんが、冷蔵または解凍すると包装フィルムに肉が付着して取り出しにくくなります。