40代の野菜農家です。四季のリズムに合わせて、旬の野菜を完全露地栽培しています。
それにしても、昨今の消費者の減農薬・無農薬への関心はすごいですね。
うちでは基本は、農薬や化学肥料を使用する「慣行栽培」ですが、そのかたわらで減農薬栽培への取り組みのひとつとして、「コンパニオンプランツ」(一緒に植えると良い影響を与え合う植物)の導入を考えています。
当方では、ナスは作っていないのですが、知人のなす農家さんと話をする機会があり、ナスのコンパニオンプランツは「ショウガ・ニラ・つるなしいんげん」などとのことでした。
さらに、そのナス農家さんから、コンパニオンプランツと似た「バンカープランツ」という方法も聞きました。
コンパニオンプランツの仕組みについては理解しているつもりですが、バンカープランツの違いとは何でしょうか?
コンパニオンプランツの基本をおさらいしつつ、バンカープランツのことも知りたいです。
また、どの作物にどの植物が対応するなどの具体例も教えてください。
(山梨県・三上さん/仮名・40代)
山川 理
山川アグリコンサルツ代表、農学博士
天敵が好む植物を与え害虫退治に活躍してもらうのが「バンカープランツ」です
「コンパニオンプランツ」は、一緒に育てると病気や虫、雑草を抑えたり、根から出る化学物質が生育を良くしたりする植物同士の共生関係です。
トマトなどのなす科と、ネギや玉ねぎなどのネギ属との混植(同じ場所で複数の作物を育てること)で、なす科植物のダニなどを減らしたり、青枯れ病を予防したりする効果があるとされます。
露地栽培でも利用できますが、メイン作物の管理や収穫の邪魔にならないよう混植する必要があります。
害虫防除には、害虫の天敵を利用する「バンカープランツ」という方法が有効です。バンカーは「銀行家」の意味で、「天敵を銀行に預ける」ように、天敵が好む植物を植えて住ませ、害虫退治してもらう狙いです。
肉食性のアブラムシやダニを天敵として使う場合は「麦」がバンカーとなります。ただし、天敵は逃げられるためハウスなどでないと活用しにくく、他の害虫に対する薬剤も制限されることに注意が必要です。
櫻井杏子
株式会社INGEN 代表取締役
バンカープランツはコンパニオンプランツの一種です
野菜の場合、センチュウ対策に使える「コンパニオンプランツ」は多様です。センチュウ被害が少ない区画ではコンパニオンプランツ、深刻なところは薬剤防除という形で使い分けるといいと思います。
「バンカープランツ」は、コンパニオンプランツの一種です。簡単にいえば「害虫の天敵の住みかとなることで、結果的に害虫が増えにくくなる植物」となります。
露地栽培において土着の天敵をバンカーの植物におびき寄せるケース、施設栽培にて市販されている天敵を人工的に放し飼いにするケースがあります。バンカープランツは、植物と天敵をセットで考え、管理することになります。
さらに厳密に定義すると、人工的に天敵を放し飼いする場合に限られるため、露地栽培では「バンカープランツ」となりませんが、目的はほぼ一緒です。
質問者様は露地栽培のようですので、「ソルゴー」などで、畑を囲ってみてください。野菜の代わりにソルゴーの方にアブラムシやアザミウマが発生する影響で、天敵も増え、結果的に野菜に発生したアブラムシ、アザミウマも捕食してくれます。