酪農家は家族経営しているところがとても多いですが、子育てと介護については、一般的な会社員の家庭と同様に、女性が中心になって携わっていることがほとんどだと思います。
これから日本はどんどん人口が少なくなっていくといわれているので、酪農業界でも女性の労働力はより重要になっていくはずなのに、牛たちの生活に合わせて早朝や夜間に作業をすることが多い酪農に適したサポートはとても少ないです。
とくに、介護の問題は深刻で、わが家でも同居している両親の介護が本格化してきたために、そろそろ妻である私が作業から離れなければならないかもしれません。
そうなると牧場経営も大変ですし、まだ小さな子供にしわ寄せがいってしまいそうで困っています。
そんな状況をどうにかしようと、酪農に合った介護サービスについてインターネットで調べてみたところ、「酪農ヘルパー制度」というものがあることを知りました。
この制度は介護にも使えるのでしょうか?
(群馬県・大澤さん/仮名・50代)
加藤武市
加藤技術士事務所
介護保険は24時間体制で受けられる場合も。まずは「地域包括支援センター」で相談を
酪農ヘルパーはその名の通り「酪農」に関する作業を手伝ってくれるサービスであり、残念ながら人間の介護には対応していません。
高齢者の在宅生活を支援する相談窓口としては、「地域包括支援センター」(自治体によって呼び名が異なることもあります)が原則1つの市区町村に1カ所は設置されていますので、まずは最寄りの自治体の高齢者相談窓口で「地域包括支援センター」を紹介してもらい、相談してみてください。
65歳以上で要介護、要支援状態であることが予想(推定)される場合は、まず介護認定申請を行います。そこで要介護認定を受けると、各種介護サービスを利用することができます。
在宅介護で受けられるサービスの内容は要介護、要支援の程度の段階によって異なり、自己負担限度額も変わってきます。
また、自己負担額は収入などに合わせて、1~3割までの間で決められており、要介護度別に支給限度額が設けられています。
この限度額を超えて介護サービスを利用する場合には、超えた分についての自己負担割合が10割、つまり全額自己負担となります。
そのため、限度額を超えて介護保険サービスを増やす場合には、それだけ介護費用が高額になるので注意が必要です。
なお、介護保険によるサービスを受けられる時間帯は市区町村によって異なりますが、24時間体制で受けることができる場合もあります。
いずれにせよ、まずは「地域包括支援センター」で相談してみてください。