宮崎県で和牛の肥育農家を営んでいます。家族経営ですが頭数は500頭ほどで質のいい牛を出荷させようと奮闘中です。
牛に病気やケガをさせないように心がけていますが、それでも年に2頭ほどは死亡事故を起こしてしまう事があります。
死亡保険には加入していないので、牛を死亡させてしまった場合には、大きな赤字になってしまいます。
現在加入している保険は、頭数規模で掛け金が変わる獣医費用の農業共済(農済)のみです。
死亡保険への加入も考えましたが、農済の方が紹介してくれた死亡保険には牛1頭1頭にかける保険しかなく、私のような頭数が比較的多い農家になると掛け金の方が高くなるのでメリットがありません。
適した保険があれば加入したいのですが、他に家畜や肥育の死亡保険制度にはどのようなものがあるかを教えてほしいです。
(宮崎県・畑中聡さん/仮名・30代)
デザミス株式会社
デザミス株式会社
「個別共済」と「包括共済」について農済の担当者さんへ問い合わせてみましょう
ご相談者さんもご存知のとおり、牛にも死亡したり廃用する時に補償する「家畜共済」があります。
「農業保険法」に基づいて実施される共済制度で、農家があらかじめ農業共済組合(NOSAI)に共済掛金を出し合っておいて、牛が死亡したり、病気や事故で廃用したり、診療を受ける必要が生じた場合、NOSAIが農家に共済金を支払います。
2020年1月から始まった疾病障害共済では、初診料を含めた診療費全体の1割が農家の自己負担となります。
家畜1頭ごとに加入する「個別共済」と、農家ごとの「包括共済」の2つあり、それぞれ補償額(共済金額)が異なりますので、相談者さんが普段からおつきあいのあるNOSAIの営業担当者に相談してみるのもおすすめです。
また、2020年4月には、国内初の牛の診療費保障サービスが始まりました。
弊社デザミスが開発した牛の行動をリアルタイムで把握する「U-motion®︎」に保険を付帯させたサービスです。
これは、牛の首に取り付けたセンサーで24時間365日牛の行動を記録することで、病気や発情の兆候、分娩、起立困難など健康状態をモニタリングするシステムです。
弊社では今回、三井住友海上火災保険とNOSAIと提携して、U-motion®︎を装着している牛が疾病障害共済の保障対象となった場合、組合員の自己負担分1割をプレゼントするサービスを始めました。
畜産経営では近年、生産の集積化・大規模化が進められていますが、一方で設備投資の負担や労働力不足で、家畜1頭1頭の適切な個体管理が難しくなっている現状があり、牛の病気や事故を見逃してしまう場面も少なくありません。
相談者さんもご指摘のとおり、牛の不調を見逃すことは、病気の進行や死亡につながり、それがひいては生産量の減少、経営圧迫を招く恐れがあるので、ぜひこのようなサービスも検討されてみてはいかがでしょうか。
弊社では、テクノロジーとデータに基づいた次世代型畜産経営を進めるために、24時間体制で牛の健康状態を管理し、病気や事故の早期発見を目指すU-motion®︎を開発しております。
野方健志
株式会社プロデュース九州
自家保険として、毎月の売上から事故割合数値で積み立てるのがおすすめです
農業共済は積立型が一般的です。
民間の損害保険会社では動産補償・所得補償保険の分野かもしれませんが、今のところ商品開発はされていません。
JA銀行が牛担保で動産担保融資(ABL)をしていますが、その時に牛の災害事故死を担保補償する保険を検討された事もありました。
年間2頭ほどの事故件数であれば自家保険(自社で遺失損害費用を積立てする)として、毎月の売上から事故割合数値で積み立てると良いのではないでしょうか。