和牛の肥育農家を営んでいますが、牛の堆肥を引き取ってくれる方が年々減少しており困っています。
宮崎県の農家ですが、以前は近隣に畑を営んでいる方が多く、牛の堆肥を肥料として引き取ってくれていました。肥料代としてお金をいただく事も多かったです。
しかし、現在は過疎化の影響でたい肥の引き取り手がほとんどおらず、敷地の空いたスペースに置いています。
昔のようにお金にはならなくてもいいと考えていますが、敷地にもスペースの限界があるので、いい処分方法があれば教えて頂きたいです。
(宮崎県・若松敏夫さん/仮名・50代)
加藤武市
加藤技術士事務所
たい肥の供給過多を改善する利活用の推進が始まっています
日本全国で、たい肥の供給過多は問題となっています。
平成29年に宮崎県で発表された県計画では、「十分なたい肥の還元用農地を確保して、飼料作物を生産せよ」という方針が打ち出されているくらいです。
ただし、肥育農家や繁殖農家さんが、自身でたい肥の還元用農地を確保するというのはいささか現実的ではありません。
日本全体で排出される糞尿の窒素を各農地に還元すればこの問題は解決するのですが、現状では受け入れ体制が整っていない事が問題です。
しかし、全く動きがないわけではなく、堆肥づくりマニュアル( 戻し堆肥、戻し堆肥:敷料)に基づき、臭気の抑制効果が見込まれるおが粉(発酵床)豚舎や牛舎等の敷料資材の一部としての利用すること等が推進されているという動きもあります。
また、「宮崎県畜産経営環境保全技術支援チーム」による、ホームセンター等への販売促進や県外への販売促進も始まっています。
南九州(宮崎県、鹿児島県)のような畜産が盛んな地域では、耕地面積あたりでの窒素排出量が高く、環境問題における課題となっているので、各自治体での早急な動きに期待するほかないでしょう。