宮崎県で牛の肥育農家を営んでいる者です。
牛床に使うものとしておがくずを利用していますが、近年価格が高騰しているので困っています。
私の牛舎では600頭ほどの牛を肥育しているので、それなりの量のおがくずが必要になります。
しかし、専門業者さんから聞いたところによると、おがくずはエネルギー資源として注目されているため、価格が高くなっていると聞きました。
価格が高騰したからといって、ストレスの軽減や牛の怪我防止を考えると、おがくずなしではいい牛が育たないと考えています。
コストが増えることで収入も減ってしまうので、肥育農家としては目を逸らせない問題です。
安くおがくずを仕入れる方法や、何か別のもので代用できる方法があれば、教えていただきたいです。
(宮崎県・伊藤さん/仮名・69歳)
雪印種苗 南九州営業所
雪印種苗
エスカリウを牛床マットに振る方法が注目されています
おが粉の高騰は、九州だけでなく、全国規模で深刻な問題になっています。
背景には、二酸化炭素を新たに排出しないクリーンエネルギーとして注目されているバイオマス発電の原料におがくずが使われているのと、ウッドショックと呼ばれる木材価格の高騰が原因です。
雪印種苗は、畜産農家向けに牧草などの種や資材を扱う会社ですが、取引先の農家からもおが粉の相談を受けることが増えました。
通常、おが粉は「相対(あいたい)」と言って、農家と業者が直接取引するものですから、平均的な取引価格は明かされません。
農家によっては、通常のウッドチップより大きなバーク材や紙屑で代替するところや、輸入業者から海外で作った木材の端材を圧縮したペレットを仕入れて、粉砕して使っているところもあるようですが、ペレットは輸送、加工コストがかかるので、国内供給分よりも割高です。
そこで最近では、「エスカリウ」と言って、微細な穴が開いたケイ酸カルシウムの粒が注目されています。
これを、ゴムや樹脂で作られた牛床マットや牛舎の通路に敷き詰めることで、牛の股開きを防止します。
また多孔質構造(細かい穴の開いた構造)なので、水分や湿度を素早く吸収し、牛舎内の悪臭を吸着する効果もあります。
牛床マットが濡れていると、牛は横になれませんし、乳房炎の恐れもあります。また、生まれたばかりの子牛の体にふりかけて布で拭いてやることで、ヌメリをとる効果もあります 。
ときどき殺菌目的で消石灰をまく農家さんもいますが、消石灰はアルカリ度が高いので皮膚が荒れてしまいます。
でもケイ酸カルシウムのエスカリウは、天然の珪石や石灰石が原料ですから、牛が舐めても危険はありません。
複数の資材会社で「畜産・酪農用環境衛生資材」として扱っていますが、弊社でも販売しています。
ご相談いただいた農家さんの居住地や、どんな牛床マットを使っているか、などで価格は変わってきます。お近くの営業所に問い合わせてみてください。
加藤武市
加藤技術士事務所
各地域で簡単に安く手に入る代替敷料を利用しましょう
畜産経営において敷料として利用されるおが粉は、木質バイオマス発電用燃料の需要増大などにより、地域によっては供給量の減少や価格の上昇が見られる状況です。
おが粉の不足や価格上昇に対応するには、各地域において容易かつ安く入手できる代替敷料を上手に利用していく必要があります。
代替敷料について社団法人中央畜産会発行の「おが粉の代替となる敷料の事例集」などを参考にまとめました。
はじめに、「肉用牛における事例」としては「粉砕もみがら」の利用事例があります。米作の盛んな地域では、おが粉の代用としてもみ殻を利用している農家が多く、おが粉に比べて吸水率は劣りますが、粉砕しないもみ殻に比べて3倍の吸水率です。
「もみ殻と戻し堆肥」を活用する方法では、敷料にもみ殻とおが粉を1:1で混合し、戻し堆肥の上に敷いて利用します。
もみ殻は、おが粉の1/4程度の価格で入手でき、保温性、クッション性に優れており、不足するおが粉の増量剤として適当です。戻し堆肥の上に薄く敷き利用します。交換頻度は、夏場は2~3週間に1度、冬場は週に1度程度です。
また、「キノコ廃菌床」を利用する事例としては、 キノコ栽培で使用後の廃菌床を、キノコ培養センター等より無料で入手します。また、秋口にはもみ殻を近隣の精米所から無料で入手し、敷料として利用できます。
近年、菌床にコーンコブ(トウモロコシの芯)などの資材が増え、廃菌床の含水率が増加しています。
このため、2年前までは廃菌床におが粉を混ぜ水分を調整し、敷料として使用していましたが、おが粉の価格が高騰したため、おが粉の使用を中止。
現在は廃菌床を雨で濡らさないよう保管庫に屋根を設置する、廃菌床はすぐに使わずに、2~4週間程度乾燥させてから使用するなどの工夫を行っています。
廃菌床はすぐに使わずに、2~4週間程度乾燥させてから使用するなどの工夫を行い、敷料にはおもに廃菌床を利用。秋口にはもみ殻も利用しています。
「発酵床」の利用事例としては、おが粉、もみ殻、発酵菌を混ぜて発酵床として使用します。
発酵床は厚さ3センチメートルとし、換気扇で常時乾燥させる。発酵床導入前と比較し、悪臭が軽減し、おが粉の使用量が約半分に減少します。
これに伴い、堆肥の量も大幅に減少し、敷料の交換や堆肥の切り返し作業が減り、管理が楽になります。
床が30センチメートルと厚いため、出荷時の事故などがなくなり、床に寝ている時間が増え、牛へのストレスが軽減されます。
「プレナ屑と粉砕バーク」の使った事例では、おが粉より安価に入手でき、比較的吸水性に優れているプレナ屑(カンナ屑)を 主な敷料として使用します。
プレナ屑の不足時期には、バーク、もみ殻、戻し堆肥を代替敷料として利用。バークは調達先で粉砕させ、敷料として使いやすくし、もみ殻は近隣農家に取りに行き無料で入手します。
6月~2月まではプレナ屑のみで足りますが、3月~5月は原料不足でプレナ屑が不足するため、バーク、もみ殻を使用します。
以前は、バークは長いままで納品されていましたが、クッション性が低く、吸水性も十分でないため、敷料として使いにくかったのです。
しかし、畜産農家の要望により、バークは調達先で粉砕して納品されるようになりました。もみ殻は、近隣の農家から、片付けることを条件に無料で入手。さらに、プレナ屑の不足に備え、夏ごろより戻し堆肥を準備し、使用します。
次に「乳肉複合における事例」を紹介します。
「砂床」を使った例では、敷料として、おが粉、廃材の粉末、洗い砂(山砂)を使用します。おが粉は近隣に製材所等がないため、業者を通じて入手。フリーストールでは、おが粉は通路にのみ使用し、ベットには洗い砂を使用します。
ベッドの厚みは15センチメートル程度。通路は朝晩の2回、ベッドは朝昼晩の3回掃除し、ベッドは約20日毎に敷料を追加します。
これまでのところ、洗い砂が堆肥に入っていることについて、耕種農家から使いづらいといった声は上がっていません。フリーバーンでは、敷料はおが粉と廃材粉末を厚さ20~30センチメートルで使用し、月2回 程度すべて交換します。
「戻し堆肥」を使用した例では、敷料は戻し堆肥100%。農場から排出する家畜排せつ物は畜種ごとに堆肥化処理を行い、酪農より排出したふん尿は酪農用、和牛より排出したふん尿は和牛用の戻し堆肥として利用します。
酪農用の戻し堆肥は、乳房炎対策のため細菌検査を実施し、確認後利用します。農場から発生した堆肥のうち約25%が戻し堆肥、75%が堆肥として販売できます。
「バーク」の利用例としては、おが粉とバークを混合したものを敷料として利用します。
製材業者がおが粉とバークを混合し販売しています。おが粉単体と混合品の価格を比較すると、混合品がリューベ当たり数百円程度安く入手できます。
牛床は敷料を厚く(5~10センチメートル程度)し、表面の汚れたところのみを除去。毎日、必要量を追加投入することにより、敷料の使用量を抑えます。
酪農経産牛は、おが粉とバークを混合したものを敷料として利用。子牛はおが粉のみを利用します。
最後に「養豚における実例」を紹介します。
「茶殻」を使った事例として、敷料はおが粉、茶殻(ウーロン茶、ソバ茶、緑茶)、戻し堆肥を利用します。
夏はおが粉の使用量が減り、時期によってはおが粉を全く使わずに、お茶がらのみで済むこともあります。
茶殻の利用により、敷料のコストを低減させることが可能です。また、脱臭効果もあります。
一方、茶殻は水分が多いため、敷料の交換頻度が高くなる傾向があります。茶殻から作られた堆肥は臭気がなく、農家からも好評です。
ホワイト
ホワイトウッド
初めまして。
宮崎県で畜産用鋸屑を販売させて頂いているものです。
私も仕入れ 燃料等かなり厳しいです。
これは、営業等ではありません。伊藤さんが本当にお困りであれば一度私とお話出来ませんか? 私は個人経営させて頂いています。 お役にたてるかわかりませんが私なりに少しでもお役にたてればと思っています。 ご検討よろしくお願いします。