1ヘクタールほどの農地で20種類ほどの野菜(白菜、じゃがいも、なす、とうがらし、ピーマン、小松菜、にんじん、カボチャなど)を作っています。
連作障害をできるだけ避けたいので、輪作年限(同じ野菜を同じ場所でつくるため開けるべき期間)を守りながら育てています。
それが常識で当然のことだと思って農業をしてきました。しかし、連作障害を気にする必要もなく、病原菌が住みつけない「発病抑止土壌」という土壌が存在すると聞きました。
インターネットで調べてみると、発病抑止土壌というのは簡単に実現できるものではなさそうですね。発病抑止土壌の作り方を研究している人から作り方のコツやヒントを教えてもらいたいです。
(山梨県・望月さん/仮名・40代)
櫻井杏子
株式会社INGEN 代表取締役
発病抑止土壌とは、多様な微生物を含む土壌のことです
連作障害にはさまざな原因が挙げられます。
特定の栄養素の吸収が進んでしまうことや、害虫(主にセンチュウ)が増えやすくなる、アレオパシー(自家中毒物質)によるものなどもあります。
ご質問の「発病抑制土壌」はあくまでも連作障害のひとつの要素を取り除くものと考えてください。
「発病抑制土壌」にしたからといって、輪作を止めていいというわけではありません。その点を理解していただいた上で、「発病抑制土壌」についてご説明いたします。
「発病抑制土壌」とは、多様な微生物を含む土壌のことです。微生物で「占有」状態になっているわけです。
植物にとって「いい菌」があらかじめ土壌に増えた状態になっていると「新参者」の病原菌は自分の住処、餌を探すことが難しくなり、結果として増えにくくなります。
微生物が豊富な土壌の作り方については、ぼかしを作る方法もありますが、一番手軽なのは、元肥や土壌改良時に一緒に微生物資材を入れるやり方です。
あくまでも植物にとって良い菌が増えればいいわけですので、必ずしも高い菌資材を使う必要はありません。
畑の土壌の場合には、バチルス菌(納豆菌もバチルス菌の一種です)が一番おすすめです。
バチルス菌は過酷な環境でも素早く増える菌です。圧力なべにかけても生き残るようなしぶとい菌として知られています。
なので、ある程度雑に扱っても土壌中で生き残り、増えていってくれます。
また、バチルス菌自体やバチルス菌が分解した栄養分が、他の植物にとって良い菌のエサになりやすいのも特徴です。
結果として、土壌の微生物環境が多様化していきます。ぜひお試しください。