3年前から転作田に建てた20アール(a)のハウスで、アスパラガスを栽培しています。
始めるとき、粘土質の土を改良したかったので、近くの酪農家から牛糞堆肥を取り寄せて10aあたり100t近く投入しました。
ところが、思っていたほど土の排水性は改善されず、灌水すると通路には水溜りができる状態です。
その部分を掘ってみたら、最初に投入した堆肥が分解されずに、ほぼそのままの形で出てきました。
通路の他の部分でも分解があまり進んでいない様子でした。
どうも土が踏み固められて空気が土に供給されず、微生物菌が活動できない状態になっているようです。
この状態の土をどのように改良したら良いでしょうか?
(熊本県・坂本弘さん/仮名・40代)
五十嵐大造
東京農業大学国際食料情報学部 国際食料情報学部(前教授)
堆肥を取り出すことは難しいので、追肥や施肥は控えましょう
3年前からアスパラガスを栽培しているとのことですので、収穫期を迎える頃になっているのでしょう。
堆肥は3年前、すなわち初年度に10アール(a)あたり100tを投入した、ということでよろしいでしょうか。
一般的に野菜を栽培するときに牛糞堆肥を施用する場合、10aあたり1.5〜2tが標準的ですが、アスパラガスは栽培期間が長期に及ぶため、堆肥を多めに施用する方が多く、10aあたり20〜30tくらいが普通です。
ただ、100tはさすがに多いようです。堆肥からは肥料成分が無機化していきますが、それはわずかな量ですので、おそらく生育上の心配はいらないと思います。
今さら入れすぎた堆肥を取り出すこともできないでしょう。
今後の栽培管理のなかで、一般的には追肥的な意味でさらに堆肥を与えるものですが、当面は追肥・堆肥の施用を控えた方が良いかと思われます。今後の追肥については生育状況を見て判断されるのが良いでしょう。
"排水性が悪い"という点についてですが、本来なら、アスパラガスを栽培する前に深耕したり、暗渠を準備しておくなどの作業が必要です。
ただ既に栽培中の場合、これらの作業は難しいですから、水が溜まるところをスコップで深く掘るなどの作業をすることになるでしょう。
土を掘ったら、牛糞堆肥がそのまま出てくるとのことですが、多量に施用したためで、それは特に気にしなくても良いと思います。
アスパラガスは堆肥の大量施用によって、肥料成分が過多の状態になっていることは確かです。
堆肥から分解されてくる無機成分はわずかであっても、施用量が大量ですと、やはり肥料成分は過多状態となり、その結果、土壌病害やその他の病害も発生しやすくなりますので、十分な観察と病害対策が必要となってきます。