新潟で夫婦で米を中心とした農園を営んでいる50歳です。
それほど規模が大きくないため基本的に夫と2人で作業していますが、繁忙期はどうしても人手が足りず、地域のシルバー人材センターに依頼して、近所の高齢者の方々に手伝ってもらっています。
とても助かっているのですが、年齢や重労働であることを思うと、心配になることも…。
また、シルバー人材センターに依頼すると、毎回同じ人に来ていただけるわけではないので、どんな人が来るのかわからないことにも不安に感じています。
知人の農家は、求人広告を出して高い時給で繁忙期に手伝ってくれる若者を確保しているらしいのですが、うちにはそのような余裕はありません。
贅沢は言えませんが、お金目的ではなく、純粋に農業に意欲を感じている若者と一緒に働けたらなあと思っています。
そうした若者たちに手伝ってもらうには、どのような手段があるのでしょうか?
「来年も手伝いたい!」と思ってもらえるよう、私たちにできることは何でしょうか。
(新潟県・熊野さん/仮名・50歳)
江城嘉一
YUIME株式会社 取締役 人材支援事業統括
産地連携がおすすめ。不可能なら若い求職者に響くアピールで差別化を!
全国的に慢性的な人手不足ですから、繁忙期だけ働きに来てもらうような短期での人材雇用は非常に厳しくなっているということを前提にお話しします。
コロナ禍で仕事を失った人も少なくありませんが、どこの地域でも若くて元気な働き手は減っていますから、求人広告を出しても条件のよい人が毎年来てくれるとは限りませんし、求人広告の費用も年々高くなっています。
相談者さんがご自分の年齢から考えて、シルバー人材でこの先10年間は耐えられそうなら、それで乗り切ることもアリでしょう。でも、この先、安定して若い働き手が欲しいなら、やはり求人広告か人材派遣を選ぶしかありません。
農業に対する意欲がある若者と一緒に働きたいという気持ちをお持ちならば、社員化して通年雇用するのがよいでしょう。ただし社員化するということは、繁忙期だけでなく人手が足りている農閑期にも仕事を作らなければなりません。
これが難しい場合、相談者が圃場(ほじょう)を持っている地域と、繁忙期が被らない他地域の農家と提携して、従業員を共有してリレー式に循環させる方法があります。費用面では、この方法が最も低く抑えることが可能でしょう。
私たちYUIMEでも、沖縄のさとうきび畑で収穫・製糖作業が終わった後は、北海道の畑で野菜の苗付けや栽培、収穫までに従事し、それが終わったら再び沖縄に戻るというサイクルを辿ることで、農家様を支援してます。とはいえ個々の農家で我々のような産地間連携をするのは現実問題として厳しいと思います。
となると、やはり求人広告を出すのが最も一般的な方法ですが、今度は募集をかけても人が集まらない可能性があります。その場合、給料などの待遇面はもちろん大事ですが、ライバルも賃金を上げる可能性もあるので、別の面で差別化する必要があります。
応募する人が「この職場で働きたい!」「来年もまた来たい!」と思ってもらえるように、例えば、住み込みで働けるとか、寮が綺麗だとか、近所にコンビニが充実しているとか、仕事が終わったらみんなでバーベキューを楽しむことができるとか、魅力的な条件を盛り込む工夫です。
相談者さんが立地的な魅力に自信がない場合は、「休日の過ごし方」「○○食べ放題」「農業のノウハウ教えます!」「2年目は○○プレゼント!」など、具体例を提示して求人を募るのが効果的かもしれません。