大阪で、バッグカルチャー(養液栽培)を使ってブルーベリーを栽培しています。50代で一念発起し、早期退職。思い切ってブルーベリー農家に挑戦し数年が経ちましたが、おかげさまで順調です。ブルーベリーは小果樹なので扱いやすく、病害虫にも比較的強いので、農薬不使用で栽培できるのも魅力です。
実はブルーベリーは品種も多く、現在は30種類ほど育てています。ある時、スマホで撮影した写真を飲み仲間に見せると、素人が撮影したものにも関わらず、周りの反応が非常によいことに驚きました。
仲間からは「ブルーベリーのことを知らない人が多いので、Instagram(インスタグラム)やYouTube(ユーチューブ)でアピールするといい」とすすめられています。
しかし、どのような機材を揃えて撮影すればいいのかわかりませんし、そういったことにも詳しくないので、プロ仕様の高額な機材などは扱えません。
できればスマホで手軽に撮影し、簡単な映像の編集に挑戦してみたいです。用意すべき機材やアプリ、導入費用などを教えてください。
(大阪府・阿部さん/仮名・50代)
村瀬雄太
ファームコネクト
スマホと無料アプリで大丈夫!あとは数値をもとに改善していきましょう
60代から本格的にInstagramやYouTubeを活用していこうという試みが素晴らしいですね! ネットでの情報発信は、まだまだ若い人が中心です。ぜひ年配の方々の希望の星になっていただきたいです。
ソーシャルコマースという、SNS(ソーシャルネットワークサービス)とEコマース(インターネットを使った売買)を掛け合わせて商品販売をする市場はどんどん伸びているので、積極的に活用していきましょう。
映像や写真でアピールしたいとのことでしたので、Instagram(写真に特化したSNS)とYouTube(動画に特化したSNS)で必要な「撮影機材」「アプリやソフト」「意識すべきポイント」を紹介します。
まずInstagramでは、用意すべき機材はカメラのみで十分です。編集についても、簡単な文字入れや明るさの調節程度でしたら、Instagram内にある機能で完結できます。
あると便利なアプリは、 食材をきれいに撮影できる「Foodie(フーディー)」や、写真に文字やロゴをいれることができる「Phonto(フォント)」がおすすめです。いずれも無料で使えますし、操作も簡単です。
Instagramで人気をアップさせるためには、重要なポイントがあります。ひとつめは、「18~21時の間に投稿する」。同じ投稿でも、投稿する時間帯によって見られる回数がまったく異なります。
総務省の「情報通信白書」によると、18~21時にもっとも多くの方がネットを使用するという結果が出ています。実際に農家さんの反応なども調査しましたが、やはりこの時間帯のタイミングで投稿した場合が最も良い反応(数値)でした。
次に「 数値をもとに改善を重ねる」ということです。Instagramは、「プロアカウント」というビジネス向けのアカウントに切り替えることができます。切り替えることにより、「Instagramインサイト」を利用できるようになります。
「Instagramインサイト」は、細かい数値やデータを閲覧できる機能が使えます。そのデータを元に分析し、改善していくことが大切です。プロアカウントに切り替えるのは無料。簡単にできますので、ぜひ取り入れてみてください。
ちなみに、投稿内容としては「農園の作物を使った料理」「栽培過程(消費者が普段の生活ではなかなか見られない裏側)」がよい反応を得やすいです。
YouTubeの場合も、用意すべき機材はスマートフォンのカメラで十分です。ドローンなどを活用している人もいますが、あまり欲張る必要はありません。
本格的に編集したい方は、Adobe(アドビ)という会社の動画編集ソフトがおすすめです。弊社でも使用しています。費用は2,480円/月(税別)です。かなり高度な編集を行えるのが特徴で、スマホとパソコンの両方で動画編集を行う方におすすめです。
意識すべきポイントは、YouTubeでは、農園のこだわりを発信できるとよいですね。また、作物を通信販売している場合はなぜお客様があなたの農園の作物を購入するのか?」とか「なぜ近場のスーパーではなく、通販であなたの農園の作物を買う必要があるのか?」などを突き詰めていくと、売上に直結する発信ができるでしょう。
また、どんな経緯で就農したのか、どんな想いで営農しているのかといった「生産者の人柄情報」も積極的に開示しましょう。信頼感が食の安心感につながっていきます。
ちなみに、お世話になっているTV局の方は「視聴者が離脱しないように工夫すること」が大切と話されていました。動きのある映像を使って見ている人が飽きないにしたり、難しい言葉(専門用語)を使わないようにすることが大切です。
とまたろう
しばファーム
構成を考え、視聴者目線でテーマを絞った動画を作ろう
大阪で、ミニトマトを中心に野菜を栽培しています。ブランディングのためにSNS発信を始めましたが、InstagramやTwitterに比べて、Youtubeの影響力に驚いています。相談者さんのようにこれから始めたいと考えていらっしゃる方に向けて、YouTube撮影の機材、編集に必要なソフトや手順、視聴されるポイントなどをご紹介します。
撮影機材は、スマホで大丈夫です。動画のクオリティ、スムーズな編集のためにも高性能のものがおすすめです。また、手振れ補正機能もあるといいですよ。ちなみに私は、iPhone11を使用しています。
三脚は映像がブレると落ち着きがない印象を与え、視聴者から嫌われてしまいます。安いものがたくさん出ていますので、ケチらずに必ず用意しましょう。また、照明は農業の場合、屋外撮影になるので、太陽光で十分です。
編集はスマートフォンでできます。アプリは無料のものでも大丈夫です。私は「VLLO(ブロ)」を使用しています。YouTubeの場合は、「VLLO 使い方」と検索して使い方を学びましょう。
カット編集、BGM(音楽)の挿入、テキストテロップなど、さまざまな機能があります。サムネイル(一覧画像)は動画の表紙、顔になるので、私は「Canva(キャンバ)」というデザイン作成ツールを使用しています。
YouTube動画の基本的な作り方は、「1. 動画のおおまかな構成を考える」「2. 撮影」「3. 編集」「4. YouTubeに投稿」となります。
たくさん視聴されるには「誰かの悩みを解決する」「誰かのお役に立つ」という視点を意識することです。単なる自分語りや自慢話に視聴者は貴重な時間を使うことはありません。相談者様のブルーベリー栽培の経験や知識などを困っている方にお伝えするという感覚です。
ただ映像を流すのではなく「家庭菜園でのブルーベリーの作り方」「ブルーベリー、この品種が甘い」「ブルーベリーの土作り」など、しっかり1つのテーマに絞って、わかりやすい動画にしましょう。人気チャンネルに育っていくと、ファンの方々との交流が増え、商品販売にも役立つようになるはずです。ぜひ挑戦してみてください。