マグロ養殖でエサに配合飼料を与えることは可能ですか？

YUIME Japan編集部 / 2023.07.19

餌、仕掛け

#マグロ #養殖

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水産会社に入社して、マグロ養殖に携わっていますが、うちでは生エサをマグロに与えています。

しかし、最近エサの価格が高騰していて、コストを圧迫しています。

どうにかできないものかと社内でいろいろと話していた時に、環境問題を含め持続可能な「配合飼料に切り替えられないか」という話題になりました。

配合飼料についてはいろいろと開発が進んでいるという噂を聞きましたが、どうなのでしょうか？

中平博史

全国海水養魚協会専務理事

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養殖マグロに配合飼料をエサとして与えることは可能で、さまざまな研究が進んでいます

養殖マグロのエサとは？

養殖マグロのエサは生エサと配合飼料の2つがあります。

養殖魚に与える餌の作り方

現在、マグロ養殖において主流となっているのは生エサです。

生エサとは、生の魚やエビなどのことです。養殖マグロには、主にアジやサバ、コウナゴ、イカなどが与えられています。

しかし、生エサは資源の量や価格が安定しないなど、いくつかの課題を抱えています。

養殖マグロは、体重を1キロ増やすのにおよそ15キロの生エサを必要とするなど、多くの生エサを必要とします。

また、マグロの稚魚はとても大食いで、エサの量が足りなければ共食いを始めますが、これが稚魚の生存率の低さの一因にもなっているのです。

さらに、生エサの価格が安定しないことから、養殖マグロの価格は天然モノと変わらない高値になってしまうことがあります。

こうした問題を解決すべく、近年は配合飼料（ペレット）を使用する漁師も増えてきました。

以前は、マグロの食いつきの悪さや成長が遅れるという問題があったため、生エサから配合飼料へ切り替える漁師はあまりいませんでした。

しかし現在は、マグロの研究が進み、マグロが好んで食べてくれる配合飼料の開発が進んでいます。

例えば、「近大マグロ」で有名な近畿大学水産研究所では、民間企業と共同で、配合飼料にアミノ酸等を添加しマグロが好む味にしたり、原料を酵素処理魚粉にすることで稚魚が消化しやすくしたりするなど、さまざまな工夫をしています。

また、エサの成分を調整することでトロの部分（脂肪含量）を増やすなど、身質をコントロールすることも可能です。

配合飼料は、生エサに比べてサイズが均一で食べ残しや水中での拡散が少なく、環境に優しいのも特色です。

このように、配合飼料には多くのメリットがあるため、今後配合飼料の導入を検討する漁師は増えていくでしょう。

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「いつか養殖してみたいので、マグロ養殖の仕組みを教えてください」

持続可能な配合飼料

現在、配合飼料を養殖マグロに与える漁師も増えていますが、配合飼料の主な原料は魚をすりつぶしてできた魚粉です。魚粉は、乾燥しているため、冷凍されたエサよりも長期間の保存が可能です。

しかし、世界中で養殖業が増加し、エサ資源の需要も高まっているため、魚粉の価格も高騰しています。

そこで、植物性の原料を使用して飼料を生産する研究が進められています。

原料としての利用が検討されているのが、大豆やトウモロコシです。

大豆やトウモロコシは世界的に生産量が多く、安定した供給が期待でき、互いに組み合わせて使用することで足りない栄養分も補完できます。

東洋海洋大学の研究では、すでにニジマスやブリ、真鯛の養殖において、魚粉を一切使わない配合飼料を与えており、魚粉入りの配合飼料と同程度に成長することが確認されています。

しかし、マグロ養殖における植物性の配合飼料はまだ研究段階で、マグロの成長過程でどのような栄養素が必要なのか、どのようにして食べさせるのか、といった課題は、研究が進められているところです。

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