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養殖ヒラメはどんな餌を与えればいい?成長に合わせた餌の種類を知りたい

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養殖ヒラメはどんな餌を与えればいい?成長に合わせた餌の種類を知りたい

これまでブリの養殖を行ってきましたが、知り合いに頼まれてヒラメの養殖をはじめることになりました。

ヒラメは完全養殖ができる魚種ですが、いままで育てたことはなく、まったく知識がありません。

また、餌の高騰も続いているので、経営していけるのか試算しなければと考えています。

そこで、ヒラメに与える餌について詳しく教えていただきたいです。

どの成長過程で、どんな餌を与えればいいのでしょうか?

中平博史

全国海水養魚協会 専務理事

ヒラメの養殖で与える餌は、成長によりDPやMP、生餌を与えていきます

養殖ヒラメの餌の与え方


畜養の場合


畜養とは、稚魚を仕入れて、生け簀などで飼育し、大きく成長させてから出荷する養殖方法をいいます。

ヒラメの養殖では、成長に合わせて与える餌の種類が変わります。

15gほどの稚魚を仕入れた後、2ヵ月目までは小粒の固形タイプの餌を与えましょう。

3ヵ月目は徐々に半生タイプの餌に切り替えて、4ヵ月目以降は生餌を与えます。

固形タイプの餌だけでは、ヒラメが小さく成長してしまうため、大きさに合わせて餌の種類を変えていく必要があります。


完全養殖の場合


完全養殖とは、卵から成魚になるまで全て人の手で管理する養殖方法です。

親魚から採卵し、人工ふ化させた後、成魚になるまで飼育して、そのサイクルを繰り返し行います。

卵からふ化後すぐは餌を与えず、3~4日ころから動物プランクトンのシオミズツボワムシを与えましょう。

10日過ぎころから様子をみて動物プランクトンのアルテミア幼生を与えます。餌が動物プランクトンのうちは、プランクトンを培養する飼料培養装置が必要となります。

ふ化後30日前後から、稚魚の大きさに合わせて配合飼料を与え始めましょう。その後は、畜養と同じ方法で給餌して飼育します。


養殖ヒラメの餌の種類


養殖魚に与える餌の種類

2ヵ月目まではドライペレット(DP)


ヒラメの養殖では、稚魚を仕入れてから2ヵ月ほどは、ドライペレットを餌として与えます。

ドライペレットは、水分をほとんど含まない乾燥した餌です。

生餌やモイストペレットに比べて、品質が安定している点が特徴です。また乾燥しているため、餌の保管がしやすい点もメリットとして挙げられます。

ヒラメはタンパク質の要求量が高い魚種のため、魚粉含有率の高いドライペレットを与えましょう。

近年は、ドライペレットの中でもエクストルーデッドペレット(EP)と呼ばれる飼料が普及しつつあります。

エクストルーダーという機械でペレットを多孔質(多数の小さな穴が空いた状態)にした餌なので、油脂添加量、粒径の調整幅が大きく、幅広い魚体サイズに対応が可能で、ヒラメが栄養分を吸収しやすくなっています。

水分含有量はドライペレットよりもさらに少なく、最も性能が優れた飼料です。


3ヵ月目はモイストペレット(MP)


3ヵ月目になると、生餌に慣れるため、モイストペレットをヒラメに与えます。

モイストペレットは、生の魚、魚粉、ビタミンなどの栄養分を混ぜて製造する餌です。固形タイプですが、半生で湿っているのが特徴です。

養殖業者や漁師自身が、ヒラメの餌の食いつき具合や成長の様子に合わせて、餌を独自に配合できるメリットがあります。

また、ヒラメの大きさによって、粒の大きさや形を変えることも可能です。


4ヵ月目以降は生餌


ヒラメを大きく成長させるために、4ヵ月目以降は、生餌を給餌します。目安としては、ヒラメの大きさが500gとなったら生餌に切り替えましょう。

生餌は、生の小魚をそのまま与える餌のことです。水揚げされた魚の中で、人間の食料に向かないような小さい魚を生餌として利用しています。

ヒラメの場合は、食いつきが良いコウナゴやキビナゴを主に与えると良いでしょう。

生餌は水揚げ量に左右され、安定した仕入れが難しいので、冷凍してストックしておくことが多く、保管用の冷凍庫が必要です。

ヒラメに与える際には、解凍してから給餌します。

餌を工夫した養殖ヒラメのブランド化についてはこちらをご覧ください
大分のヒラメの養殖に興味があります。どんな取り組みをしていますか?



餌を与える頻度


ヒラメに餌を与える頻度としては、ヒラメのサイズが小さい頃は、1日3~4回を目安として与えます。

ヒラメが大きく成長するにつれて、1~2回に頻度を減らしましょう。

餌を与える方法としては、機械給餌と手まき給餌の2通りがあり、さらに機械給餌は、給餌船給餌と自動給餌の2種類があります。

機械給餌は餌を勢いよく食べるブリなどの餌やり方法ですが、ヒラメは比較的ゆっくりと餌を食べる魚種のため、手まき給餌で様子を見ながら与えるようにします。

飼育の過程では、水槽内のヒラメの大きさに差が出てきます。

これは、餌やりの際に大型個体が餌を先に食べるため、小型個体の成長が遅くなることが要因です。

個体差が広がらないように、大きさごとに選別し直して飼育する必要があります。


ヒラメの養殖で使用する餌を知りヒラメを養殖しよう


ヒラメの養殖では、稚魚を仕入れたばかりの頃はドライペレットなどの固形飼料を餌として与えます。

その後、成長とともにモイストペレット、さらに大きくなると生餌に切り替えます。これは、ヒラメを大きく成長させるためです。

餌は手まき給餌で行い、最初は与える回数を多めに与えますが、成長とともに様子を見て減らしていきましょう。

途中、個体差にバラつきが見られるようになったら、大きさごとに選別を行います。

ヒラメの養殖で使用する餌を知り、新たにヒラメの養殖を検討してみてはいかがでしょうか。

このお悩みの監修者

中平博史

全国海水養魚協会 専務理事

全国海水養魚協会の専務理事や一般社団法人マリン・エコラベル・ジャパン協議会の理事を務める、魚類養殖業のプロフェッショナル。養殖水産物の輸出や赤潮などの環境保全対策活動にも携わっている。

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