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トマトが青枯病にかかった際の症状や対策方法を知りたい

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トマトが青枯病にかかった際の症状や対策方法を知りたい

昨年からハウスでトマトの栽培をはじめた農家です。これまではさまざまな野菜を露地やハウスで生産してきましたが、道の駅でトマトがよく売れていると聞き、トマト栽培もはじめることにしました。

1年目は近所のトマト農家さんに栽培方法を教えてもらいながら行ってきましたが、今年から自分ひとりで栽培しなければなりません。

その中で、先日近所のトマト農家さんが青枯病を発症し、大きな被害を出してしまったと聞きました。

うちの圃場でも気をつけなければならないので、トマトの青枯病対策について、どのようにすればいいのか、教えてください。

李 哲揆

データサイエンティスト

トマトは収穫最盛期になると青枯病が発生しやすいので、排水対策や土壌消毒などの予防が重要です

トマトが青枯病にかかった時の具体的な症状


トマトが青枯病にかかると、次のような症状が現れます。

・発生初期は、先端の葉→下位葉の順に萎れだす
青枯病の初期症状

・夜間や天気の良い日には回復するが、次第に進行して茎、葉全てが萎れる
株が萎えたトマト

・そのまま株全体が褐色になって枯死する
株全体が青枯病で枯れたトマト

通常の病害であれば、葉や茎が黄化して枯れていきますが、青枯病の場合はトマトの葉や茎が青いまま萎れてしまうという特徴があります。

1つの株が感染すると、同じハウスや圃場で育てている健康なトマトの株にもすぐ蔓延してしまうとても厄介な病害です。


かいよう病との見分け方


トマトの代表的な病害には、青枯病だけではなく、「かいよう病」という病気もあります。

青枯病もかいよう病も発病適温は25〜27℃であるため、似たような時期に発生します。

それぞれの症状の違いは次の通りです。

青枯病

・晴天時に上位の葉が萎れる
・葉や茎が青いまま枯れだす

かいよう病

・下葉が周縁部からしおれ、乾燥して次第に巻き上がる
・上位から中位の葉で葉脈間の褐変が起こる
・病勢が進展すると茎や葉に隆起したコルク状の小斑点が現れる。果実にも白い鳥眼状の斑点が現れることがある。


かいよう病の方が、青枯病に比べてさまざまな症状が出るため、判断が難しいです。

かいよう病の場合は有効な農薬があり、対策できるのですが青枯病には防除できる農薬がなく、それぞれの病気で対策方法が異なります。

こちらの記事を参考にして早期発見を心がけてください
青枯病の診断方法について教えてください


トマトが青枯病にかかりやすい栽培条件


トマトが青枯病にかかりやすい条件は主に次の通りです。

・水分が過剰な土壌
・地温が25度以上
・連作している圃場


トマトをハウスで育てる促成栽培や抑制栽培では、定植の際に夏を迎えるため、高温によって青枯病菌が発生しやすくなります。

露地栽培でも6~7月の時期は高温になりやすいため、青枯病が発生しやすくなります。

また、青枯病菌は水分の多い土を好むため、トマト栽培をする際は水はけの良い土壌で栽培しましょう。


トマトを青枯病から守るためにやるべきこと


トマトを青枯病から守るには以下のような対策が重要となります。

・排水対策などの適切な圃場管理
・センチュウ等の防除を目的とした土壌消毒
・接ぎ木苗栽培(病気にかかりにくい抵抗性品種のみ)
・株の抵抗性を高める施策


排水対策などの適切な圃場管理


青枯病菌は水の流れとともに移動して、圃場内の他の株や作物にも感染し広がります。

そのため、圃場の排水性対策を徹底しておきましょう。例えば、トマトの畝を高くすることや、暗きょを設置することも効果的です。


センチュウ等の防除を目的とした土壌消毒


青枯病は、トマトの根部分にある傷口から侵入して感染します。根に傷口をつけやすい要因となるセンチュウなどの防除を行いましょう。

センチュウの防除には専用の農薬(殺線虫剤)が効果的です。

殺線虫剤により土壌中のセンチュウ密度を減らすことで、間接的に青枯病からトマトを守ることが可能です。


発病した株のすみやかな除去


土壌の消毒はもちろんのこと、青枯病に感染した株を圃場から速やかに取り除くことも大事です。

また、その際に使用した器具や周辺の土まで消毒を徹底することも重要な対策です。


接ぎ木苗栽培(病気にかかりにくい抵抗性品種


病気にかかりにくい抵抗性品種を台木にして、接ぎ木苗栽培をすることもトマトを青枯病から守る施策の1つです。

トマトの抵抗性品種には「Bバリア」や「LS-89号」などがあります。

抵抗性品種を接ぎ木苗栽培することで、接触感染による青枯病の蔓延を防ぐことができます。

また、最近では通常の接ぎ木よりも高い位置で苗を接ぐ高接ぎ木といった方法もあります。

青枯病になってしまった場合の対策はこちらをご覧ください
青枯病になった株はどう対策すれば良いですか?



株の抵抗性を高める施策


青枯病の対策として、トマト自体の免疫や抵抗性を高めるのも効果的です。

免疫活性剤などさまざまな商品が売られていますが、これらの効果は圃場条件により不安定であることを念頭に入れておきましょう。

以下の記事ではアミノ酸で対策する方法をご紹介しています
アミノ酸が青枯病対策に効果的な理由を知りたい

このお悩みの監修者

李 哲揆

データサイエンティスト

名古屋大学大学院生命農学研究科にて博士(農学)を取得。東北大学、東京大学、理化学研究所などを経て、2018年からは東京農工大学生物応用システム科学府にて助教を務める。主な研究テーマは土壌微生物を用いた環境に優しい農法の開発。2021年4月から民間企業でデータサイエンティストとして働く。

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