menu
Pull to refresh

青枯病になった株はどう対策すれば良いですか?

文字サイズ

拡大 標準

青枯病になった株はどう対策すれば良いですか?

農家になってまだ数年ですが、現在はトマトをメインに育てています。

これまで大きなトラブルはなかったのですが、先日、トマトの一部の葉がしおれ始め、数日後に葉が青いまま株ごと枯れてしまいました。

インターネットで調べてみたところ、どうやら青枯病のようです。

初めてのことなのでどうすれば良いか分からず困っています。対策や予防法を教えていただけないでしょうか。

李 哲揆

データサイエンティスト

青枯病になった株はすみやかに圃場から除去し、感染拡大と再発防止に努めましょう

青枯病の症状


青枯病は、細菌による土壌伝染性病害です。

トマトやピーマン、ジャガイモといったナス科の植物に多く見られます。

「葉が青いまま枯れた」「突然株全体がしおれた」といった場合は青枯病を疑いましょう。

青枯病かどうかを判断するには、茎を切ってみることです。

青枯病にかかっていた場合、導管が褐色になりその茎を水に浸すと乳白色の液体(病原菌)が噴出するのが見られます。

液体には細菌が含まれていますので、手で直接触れないように気をつけてください。


青枯病になった植物の対処法


青枯病の対策青枯病になったら、今のところ有効な農薬はありません。感染を広げないようにする、再発しないようにすることが大切です。

青枯病の対策で有効だと言われているのは「土壌消毒」です。

一度青枯病が発生した土壌や植物には病原菌が残っている可能性があります。

土壌に残った病原菌は土壌消毒をすることで排除できます。

土壌消毒には土壌燻蒸剤を用いた消毒、太陽熱消毒、土壌還元消毒などがあり、その土地環境に適した方法で行いましょう。

病原菌が死滅する温度についてはこちらをご覧ください
青枯病菌の死滅する温度について知りたい



青枯病を予防するために



残念ながら、一度発生した圃場では再発しやすくなるのが青枯病の厄介なところ。繰り返し発生させないように予防できるポイントを押さえておきましょう。

水はけを良くする

青枯病は水分を介して伝染していくため、土壌の水分量には注意が必要です。水分過多の状態が続くと根痛みの原因にもなります。

多雨期には潅水を控え、水分が溜まっているようなら排水をしましょう。


連作をしない

同じ作物の連作は発症の原因となりますので、避けましょう。


地温を下げる

病原体が好む地温は30度以上の高温です。藁(わら)やビニールマルチで表面を覆い、地温上昇を防ぐことで青枯病を抑制します。


抵抗性のある品種を選ぶ

最近では青枯病に強い品種や抵抗性台木に接ぎ木した苗が販売されており、中でも抵抗生台木を用いた高接ぎ木という方法が今注目されています。

一般的な接ぎ木は、子葉上部で接ぎ木を行いますが、高接ぎ木は第2・3葉上部で接ぎ木を行うため細菌が上部へ移動するのに時間が掛かり、通常より発病を遅らせることができるというものです。


用具はこまめに消毒する

青枯病は根の病気ですが、葉かきや芽かきなどの作業の際に青枯病菌に汚染されたハサミなどから伝染することが確認されています。

こまめに消毒を行っても良いですが、自動消毒ができるはさみが販売されていますので、こうした道具を取り入れてみてはいかがでしょうか。

青枯病は予防対策が大事


青枯病には、有効な農薬がありません。

今回ご紹介した対策を複数組み合わせて、発症防止に努めましょう。


このお悩みの監修者

李 哲揆

データサイエンティスト

名古屋大学大学院生命農学研究科にて博士(農学)を取得。東北大学、東京大学、理化学研究所などを経て、2018年からは東京農工大学生物応用システム科学府にて助教を務める。主な研究テーマは土壌微生物を用いた環境に優しい農法の開発。2021年4月から民間企業でデータサイエンティストとして働く。

シェア

COMMENT

この記事を誰かに教える /⾃分に送る

お気に⼊りに登録
ツイート
シェア
送る
NOTE

会員登録と⼀緒に公式LINEに登録すると便利です。

業界ニュースやイベント情報などが届きます。

友だち追加

関連するお悩み

青枯病の原因を教えてください
青枯病がよく発生する時期が知りたい
青枯病菌の死滅する温度について知りたい

あなたの悩み
YUIMEで解決しませんか??

農業や漁業に関する悩みや疑問や不安、
悩みごとについておよせください。
いただいた投稿から選考した相談内容について、
編集部や専⾨家がお答えします。

Loading...