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トマトが病害に!萎凋病?青枯病?見分け方を教えて

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トマトが病害に!萎凋病?青枯病?見分け方を教えて

トマトの栽培をはじめて数年になる農家です。これまで大きな被害にあったことはなかったのですが、今年はじめてトマトが病気に罹ってしまいました。

はじめての経験だったので、どうすればいいかわからず、近所の農家さんに相談してみたところ、「萎凋病じゃないか」と言われました。

しかし、インターネットで調べてみると「青枯病」のような気もします。

今回は土壌消毒をして対処できましたが、今後のためにもきちんと見分け方を知っておきたいです。

どのような病害があり、どう見分ければいいのか、教えてください。

李 哲揆

データサイエンティスト

トマトの病害は葉の萎れ方や色、発生時期などで判断しましょう。自己判断が難しい場合は、農業改良普及センターへ相談してください

トマトの主な病害


トマトに発生する病害は青枯病、かいよう病、疫病、萎凋病、半身萎凋病、黄化葉巻病、うどんこ病、軟腐病など非常に多岐にわたります。

すべてを把握し見分けることは難しいですが、ここではいくつかの病害についてその特徴をご紹介します。


各病害の主な特徴


それぞれの病害によって発生時期、萎れ方や進行具合は異なります。

青枯病


青枯病は土壌伝染性の病害でラルストニア・ソラナセアラムという細菌が原因です。トマト以外にもナスやピーマン、イチゴ、大根など100種以上の作物への感染が確認されています。

突然青い状態のまま枯れてしまうことから青枯病と言われており、青枯病に感染した株は、天気の良い日中に茎葉が萎れて日の沈んだ夜には元に戻るという状態を数日繰り返します。

特に高温多湿の日に進行が早く、最終的には株全体が枯死します。

青枯病の原因と対策についてはこちらをご覧ください
トマトが青枯病にかかった際の症状や対策方法を知りたい
青枯病の原因を教えてください



萎凋病


萎凋病はフザリウム・オキシスポラムというカビが原因の土壌伝染性病害です。

萎凋病にかかった植物はまずトマトの株の片側一方の下葉が黄化し萎れ始めます。そして夜になると葉が回復し日中にまた萎れるという状態を繰り返しながら、症状は上位葉へ進み、最終的には枯死します。

青枯病と同様に、高温多湿時に発症・進行しやすいです。感染すると生育が極端に遅くなり、着果不良となります。

萎凋病の原因や対策についてはこちらをご覧ください
トマトが萎凋病に!原因と対策が知りたいです
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かいよう病


かいよう病は細菌性の病害で、青枯病に似た症状を持つことからしばしば誤って判断されることがあります。

最初は葉の一部が脱水症状を起こします。そして徐々に下位葉から中位葉の一部が黄化し始め、葉が上巻になっている様子が見られます。さらに症状が進行すると、導管の褐変や空洞化が見られます。

また感染株は水につけると、白濁した細菌液が少し見られることもあります。細菌液が大量に出る場合は青枯病、少量の場合はかいよう病の可能性が高いです。

ただし3〜4日後に症状が進行していなければ単なる生理障害の可能性もあり、目視による判断が難しい病害です。


トマトが病気にかかった際の見分け方


トマトがしおれていた場合に病気を疑うことになります。

まず、萎れが急激かそうじゃないかで分けましょう。

急にしおれていた場合、茎を水につけ白濁した液が大量に出てきたら青枯病、白濁液が少量ならかいよう病、白濁液が出ず葉が下から黄化して枯れたら萎凋病を疑いましょう。

急なしおれが見られない場合は根を見ます。根がひどく傷んでいる場合には根腐萎凋病、根が膨らんで亀裂ができている場合は褐色根腐病の可能性が高いです。

根が健全で葉の一部だけが謳歌している場合は半身萎凋病かもしれません。

その他、春や秋に葉に白いカビの斑点が見えたらうどんこ病、涼しい時期に大雨が降ったあとで葉に暗褐色の病斑と白いカビが見られたら疫病、高温多雨の後で根の周辺や茎が悪臭を伴って空洞化する場合は軟腐病になります。

これらの他にも非常に多くの病気があるので、慣れない人が判別するのは困難です。さらに各病害の特徴が同時に複数現れることもあり、これも病害診断の難易度を上げています。

病害の判断に迷う場合は、市販されている簡易診断キットを利用することも一案です。

病害はその原因によって防除法が大きく変わってきます。自己判断が難しい場合は、一度お近くの農業改良普及センターにご相談ください。

このお悩みの監修者

李 哲揆

データサイエンティスト

名古屋大学大学院生命農学研究科にて博士(農学)を取得。東北大学、東京大学、理化学研究所などを経て、2018年からは東京農工大学生物応用システム科学府にて助教を務める。主な研究テーマは土壌微生物を用いた環境に優しい農法の開発。2021年4月から民間企業でデータサイエンティストとして働く。

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