サツマイモ基腐病の発生原因と防除方法 を教えて

種苗・排水に注意し、発生したら圃場の外で処分しましょう

サツマイモ基腐病の原因と特徴

2018年秋に鹿児島県や宮崎県、沖縄県などでイモが腐敗する症状が多発しました。これがサツマイモ基腐病の始まりです。

当初は熊本県、福岡県、長崎県などの九州エリアでの発生が中心でしたが、2021年の夏以降になると四国、関東、北陸、東北、さらには北海道までと全国各地での発生が確認されています。

発生原因は「Diaporthe destruens（ディアポルテ・デストルエンス）」という糸状菌の感染によるものです。

基腐病に感染すると、最初は地際部の茎の表面に小さな黒粒が多数形成され、そこから雨水によって大量の胞子が広がります。

感染した塊根は褐色～暗褐色に変色し、腐敗します。

また、苗床や本圃だけではなく、収穫時には大丈夫そうに見えても、貯蔵中の塊根（かいこん）が知らぬ間に発病して腐敗することもあります。

発病株が少ないと、基腐病の発生に気づかないまま栽培を繰り返してしまうことも。

その場合、土壌の汚染が急速に進み、一気に拡大して全滅してしまう恐れもあるので、油断せずに防除対策を行う必要があります。

サツマイモ基腐病を防除する方法

基腐病を防除する方法は、現在、技術者や研究者が調査をしているところです。

基腐病のように発生から数年で全国に感染が拡大した理由は、感染した苗や種芋の移動によって生じたものと考えられています。

そのため、基腐病の未発生地域では汚染種苗を「持ち込まない」ことが重要な防除対策となっています。

つまり種芋は必ず未発生の圃場から採取したものを使うことが重要です。

できれば、種芋採取用の専用圃場を設置し、選別を行い、消毒をしたものを使ってください。

さらに、日常から「増やさない」対策をしておくことも必要です。

まず覚えていただきたいのは、基腐病には水たまりが厳禁だということです。

基腐病の胞子の広がりは、降雨により生じる水たまりによって促進されるとされています。

そのため、圃場の排水にはとくに気をつかう必要があります。

基腐病は苗床や定植1カ月後頃から発生が確認できるので、もし基腐病らしい株を発見した場合は、すみやかに圃場の外へ持ち出し、処分します。

さらに周辺を中心に薬剤を散布して感染の拡大を防いでください。

基腐病を引き起こす菌は越冬するため、畑をよく撹拌して残渣の分解をできるだけ速めるか、ダゾメット粉粒剤など殺菌効果のある薬剤を使用して土壌消毒を行い、「菌を残さない」努力をすることも必要です。

しかし、現状では基腐病を完全に根絶やしにするのは難しいとされているので、発生した場合はサツマイモ以外の作物を栽培することも検討しましょう。

サツマイモ基腐病の類似病害

基腐病は株元が変色して落葉し、塊根は主に「なり首」側からやや黒ずみ、腐敗するのが特徴です。

しかし似たような症状の病気もあります。

それは乾腐病（かんぷびょう）、軟腐病（なんぷびょう）、ツル割（われ）病などです。

腐敗など、なんらかの異変が発生した際には、冷静に判断しましょう。

乾腐病は糸状菌の感染で発生し、貯蔵中の塊根が先の方から茶色く硬くなり、腐敗します。

軟腐病は、塊根が基腐病よりも軟らかく腐敗し、アルコール臭を発します。

ツル割病は茎が縦に裂け、茶褐色に腐るのが特徴です。

サツマイモ基腐病の補助金

基腐病発生による被害に対して、各自治体でも予防・治療効果が高い薬剤購入の一部を助成したり、使用済みマルチ処分の費用を補助してくれるケースがあります。

各地の農業振興課により支援内容が異なるため、まずは問い合わせてみましょう。

また、国の支援も行われています。農林水産省農産局地域作物課で最新情報を確認されてみてはいかがでしょうか。

基腐病以外の病害についてはこちらをご覧ください
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