ひらたけ（シメジ）の菌床栽培の方法を教えてください

温湿度を管理せず育てるブロック菌床栽培があります

ひらたけ（シメジ）の一般的な栽培方法

シメジはビン菌床を用いた空調栽培が一般的で、空調や温湿度、照明などの環境をコントロールすることが必要となります。

施設の規模や、各種機器の性能にもよりますが、建造物以外の初期費用だけでも数百万円から数千万円かかる可能性があります。

そこで、コストを抑えながらシメジを栽培するのであれば、「ブロック菌床」を用いた菌床栽培がおすすめです。

自然栽培に近い形で栽培するので、大規模な設備は不要ですが、キノコの発生回数は限られます。

原木栽培の方法についてはこちらをご覧ください
「ひらたけ（シメジ）を原木栽培する方法が知りたい」

シメジのブロック菌床栽培

ここでは春と秋の年2回、温湿度の管理をしないブロック菌床栽培を紹介します。

大まかな流れとしてはまず、きのこの栄養源となる培地を調製します。

培地をガゼット袋（袋の底と横にマチのある形状の袋）に充填し、穴を開け仮止めします。

雑菌が入らないように殺菌したうえで、植菌（しょっきん/種菌を植え付けること）していきます。

接種後は雑菌が入らないよう、ただちに密封し、2か月ほど培養管理に入ります。

空調栽培においては、培地の熟成が済んだら瓶の上の培地に刺激を与える「菌掻き」をして発芽を促すのですが、ブロック菌床栽培ではその必要はありません。

発生操作は袋の上部をカットし、鹿沼土を敷き詰めます。

収穫で押さえるべきポイントとして、びん栽培されるシメジよりも一回り大きなサイズを心掛けましょう。

菌床栽培の培地づくり

培地は広葉樹のおがくず（オガコ）を使用します。

栄養源として米ぬかとフスマを6対4の割合の割合で、培地総重量の1割になるよう添加します。

シメジは害菌に対する抵抗力が弱いため、培養初期に菌類の侵入可能性が高くなります。

この点を抑えたうえで、培地の殺菌を確実に行うことが求められます。

殺菌は、「培地内部温度は98℃」で「4時間」の基本を徹底することがポイントです。

殺菌終了後は消毒した接種環境において、培地温度を20℃以下になるまで自然冷却します。

この際、菌床容積の約半分にもなる空気を吸い込むことになるので、放冷中の戻り空気による再汚染（コンタミネーション）への注意が必要です。

シメジの自然栽培

シメジは、高いCo2濃度を好む傾向があると言われています。

シメジ発生の段階でCo2濃度が低いと、傘が平らに開く性質があります。

空調栽培のようにCo2を管理することは困難です。

そこで、トンネルフレームなどを用いて寒冷紗（かんれいしゃ/糸を網目状に荒く織り込んだ布）で覆うなどします。

乾燥防止の効果と、高めのCo2濃度を意識することで、大きなサイズを目指します。

気温が低くなれば、さらにビニールシートで覆い保温と保湿に努めましょう。

自然環境下では普通、秋口に発生しますが、春先の平均気温が15度ぐらいの期間でも発生が見込める可能性があります。

「5月ごろと10月ごろ」というように、1シーズンのうち2クールの収穫を目標にしてはいかがでしょうか。

栽培の手順や流れについてはこちらもご覧ください
「ひらたけ（シメジ）の栽培方法を教えてください」