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ひらたけ(シメジ)の病虫害対策に農薬は使いますか?

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ひらたけ(シメジ)の病虫害対策に農薬は使いますか?

野菜を栽培していますが、圃場の一角が空いているので、新たにひらたけの原木栽培をはじめようかと考えています。

しいたけの原木栽培をやっていたことがあるので、栽培方法に関しては問題ないと考えていましたが、ふと不安に思ったのが病虫害のことです。

昨年、うちで育てていた野菜が青枯病の被害に合ったこともあり、病害虫対策には力を入れています。

野菜の場合は農薬で対処できますが、きのこではどうすればいいのでしょうか?

ひらたけに農薬は使っていいのでしょうか?アドバイスをいただけると助かります。

大賀祥治

九州大学 名誉教授、中国吉林農業大学 教授

シメジ(ひらたけ)栽培に農薬を使用してはいけません

シメジ(ひらたけ)栽培の病虫害


シメジ栽培に被害をもたらす病害は、「トリコデルマ」や「クラドボトリウム」など糸状菌類や「シュードモナス」といった細菌類、そしてウイルス類がいます。

害虫はキノコバエやダニ類、線虫などがいます。


農薬は使用せず生態的防御を


きのこの栽培施設で消毒用として使用できる薬剤は、原則としてエタノール、次亜塩素酸ナトリウム、電解水などです。

また接種室での表面殺菌用に、紫外線の殺菌ランプが用いられます。

虫害は農薬を使うことなく防除が可能です。

害虫は外部から侵入するので、出入り口には防虫ネットを設置し、侵入を防ぐことに努めましょう。


温湿度・CO2・雑菌に注意する


培養期間中、施設内は一定の温度と湿度を保つ必要があります。

目安としては、温度は23℃、湿度は70%程度になるように設定しましょう。

CO2濃度は、2,500ppm以下で管理し、照度はできるだけ暗黒培養で管理します。


また、培地作りの工程と同様に、雑菌には細心の注意が必要です。

雑菌が入ると菌床からキノコが発生しないだけではなく、ほかの菌床にまで害が及ぶ場合があります。

菌床栽培の培養温度(20度ほど)では、菌糸伸長が速いトリコデルマやグリオクラジウムの仲間が、きのこ菌糸の2~3倍の速さで伸長します。

そのため、毎日雑菌に侵された菌床がないか確認する必要があります。

万が一、雑菌に侵された菌床を見つけた場合は、すぐ外に出して廃棄しましょう。


清潔に保つ


害菌や害虫の発生を防ぐための最も基本的な対策は、栽培環境の整備です。

空気清浄機のフィルターや冷却装置、また加湿器内部に細菌類が生息し、部屋全体に害菌が散布される可能性もあります。

そのため、施設や機器の整理整頓、清掃や消毒を徹底することがポイントになります。

また、虫害の多くは、古い培地で発生する傾向にあります。

古い培地や害菌に汚染された培地は、速やかに廃棄しましょう。

ひらたけの栽培方法はこちらをご覧ください
ひらたけ(シメジ)の栽培方法を教えてください
ひらたけ(シメジ)を原木栽培する方法が知りたい

このお悩みの監修者

大賀祥治

九州大学 名誉教授、中国吉林農業大学 教授

農学博士。専門は、きのこ学、森林資源学。とくに食用・薬用キノコの生理特性や生産技術、森林の木材腐朽菌および菌根菌を研究し、九州大学発ベンチャー企業「株式会社マッシュピア」「ヒマラヤンバイオ・ジャパン株式会社」の各々会長、代表も務めている。

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