ひらたけ（シメジ）の栽培方法を教えてください

YUIME Japan編集部 / 2023.09.25

生産方法

#きのこ類 #ヒラタケ #林業

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現在は野菜をメインに育てていますが、はざかい期に出荷できるものが減りがちです。

そこで、きのこを栽培しようかと検討しています。

私の集落では、しいたけを栽培している農家はよく見かけますが、ひらたけ（シメジ）を生産している農家はほとんど見かけませんし、直売所で売れば話題性があるのではないかと思い、検討しています。

しいたけだと原木栽培や菌床栽培が一般的だと思うのですが、ひらたけはどのように栽培されているのでしょうか？

具体的な生産方法を教えていただきたいです。

大賀祥治

九州大学名誉教授、中国吉林農業大学教授

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シメジの栽培は一般的に空調栽培で生産されています

シメジの空調栽培

ヒラタケの菌床

シメジの栽培は原木栽培や、箱やブロックでの菌床栽培も可能ですが、空調栽培（空調設備を用いて温湿度をコントロールする栽培法）が一般的に行われています。

培地調整〜殺菌

空調栽培の大まかな流れは、次の通りです。

まず、きのこの栄養源となる培地を瓶詰めするところからスタートします。

培地は、堆積させたスギオガコと、フレッシュフスマ、米ぬか、ネオビタスを9:9:2の割合で、総重量が20％になるようにして混ぜ合わせます。含水率は66～68％になるように調整しましょう。

次にブロービン（きのこ栽培のビン）に、培地を充填（詰める）していきます。850ccのブロービンに対し、480～500gほど充填しましょう。

そして、高圧殺菌であれば培地内の温度が120℃になってから60分間、常圧殺菌では培地内の温度が98℃以上になってから4時間、殺菌を行います。

その後、培地温度が20℃以下になるまで放冷します。

特に、培地から熱が放出されるときには、吸気現象がおきるので、周りの空気を吸い込みます。

清潔な環境を作るよう心がけてください。

常圧殺菌の場合には、培地が冷えすぎないよう注意しましょう。

接種〜菌掻き

雑菌が入らないようにしながら、植菌し（1ビン当り10cc程度、850ccの種菌ビン1本当たり約90本）、20～23℃の培養室で培養管理を行います。

培養室は湿度65～75％、CO2濃度は3,000ppm以下、照度はなるべく暗黒培養にしましょう。培養室で30～35日間ほど培養を行います。

熟成が済んだら、菌掻き（瓶の上部の種菌や古い培地を取り除く）し、シメジの発生を促します。

菌掻きの後は、2～3時間注水しましょう。

芽出し〜収穫

可能であれば、培養室とは別の芽出室（温度14～16℃、湿度90％以上、CO2濃度2,000ppm以下、照度200Luxほど）に移し、昼間のみ点灯しながら、5～7日間瓶をひっくり返した倒立状態で管理します。

芽出し管理を終えたら、生育管理に移ります。

温度は13～15℃で管理し、18℃以上には上げないよう注意しましょう。湿度は85～95％、CO2濃度は1,000ppm以下、照度は50～500Luxで、昼間のみ点灯します。

発芽（培地上部の表面に小さなツブツブができる）が確認できたら正立状態へ戻し4～6日間管理しましょう。

シメジが成長してきたら、菌傘に丸みが残っている状態（大きさ2～3cm）で、株ごと収穫します。

850CCの1ビン当たり100～120g収穫できます。空調栽培では、通年の収穫が可能です。

原木栽培や菌床栽培の方法はこちらをご覧ください
「ひらたけ（シメジ）の菌床栽培の方法を教えてください」
「ひらたけ（シメジ）を原木栽培する方法が知りたい」

空調栽培には設備投資が必要

シメジの空調栽培には空調設備や温湿度、照明などの調整が欠かせません。

大規模なきのこ生産工場ではミキサーや充填機、殺菌釜、培養室、菌掻き機などの機器が導入され、自動で栽培されています。

そのため、個人で空調栽培を行うには、莫大なコストがかかります。

兼業や直販を行う場合には、原木栽培や菌床栽培を検討しても良いかもしれません。