しいたけ栽培で間引きを行う理由や方法を知りたい

YUIME Japan編集部 / 2022.12.26

分析・管理

#きのこ類 #しいたけ #林業

文字サイズ

拡大標準

多品目の野菜を栽培している農家ですが、新たにきのこの栽培をはじめようかと考えています。

近くの直売所でもしいたけが売れていると聞いたので、まずはしいたけの菌床栽培をはじめようと思うのですが、調べてみると、しいたけの栽培でも「間引き」を行っていると知りました。

普段、野菜を栽培する時に間引きは行っていますが、しいたけでも間引きが必要な理由は何なのでしょうか？また、立派なしいたけを育てるための間引きの方法や、注意点についても教えてください。

大賀祥治

九州大学名誉教授、中国吉林農業大学教授

フォローする

しいたけの間引き作業は、しいたけ1つ1つを大きくさせるための重要な作業です

しいたけ栽培時に行う間引きとは？

間引きとは、密生した状態から少数のしいたけを残して、残りのしいたけを取り除く作業を指します。

菌床しいたけの栽培では、1つの菌床から膨大な数のしいたけが芽生えることがありますが、間引きを行い、しいたけ同士を密着させないようにすることが重要です。

間引きを行うことで、次のような効果が得られます。

・しいたけの成長を促進させる
・菌床のダメージを軽減できる

しいたけの成長を促進させる

しいたけが大量に芽生えて、密着した状態になると、大きなしいたけに育ちません。成長過程で密着したしいたけ同士が養分の取り合いになるので、成長が阻害されてしまいます。

間引きを行い空間を空けることで、しいたけの成長促進につながり、肉厚で上質なしいたけが作られます。

菌床のダメージを軽減できる

菌床しいたけの栽培では、熟成された菌床からしいたけを発生させます。

この時に大量のしいたけが発生してしまうと、菌床への負担が大きくなり、養分を過剰に消費（ダメージ）してしまうので注意しなくてはいけません。

ダメージを受けた菌床では、健康で大きなしいたけが育たなくなる可能性があります。

しいたけの発生時期に、発生過多になった菌床の間引きを行うことで、菌床そのものへの負担軽減につながります。

間引きの方法

しいたけを間引きする際は、重なっているものから一つだけを残して、集中して取り除く必要があります。

間引きの目的は、しいたけ同士の間隔を空けることなので、密集している箇所から集中的に取り除かないといけません。

また、間引きの際には、収穫と同じように手作業ではなく、ハサミのような器具を用いて丁寧に取り除くと良いです。

間引きのポイント

しいたけの間引きを行う際のポイントは次の通りです。

・楕円形やハート型になったしいたけも取り除く
・極力、根本から取り除く

しいたけは、同じ菌床で育っても大きさや形はバラバラに育ちます。

小さなしいたけや形の悪いしいたけは、間引き作業の時に優先して取り除きましょう。
また、極力根本から取り除いて、石づきの部分が菌床に残らないようにすることが重要です。

間引きの注意点

間引きを行う際は、菌床からカビが生えないように対策を行います。間引きをした部分からカビが発生して、菌床を腐敗させてしまう可能性があります。

カビの発生原因は間引き時に、しいたけの一部が残っていることが主な要因です。

また、間引き時に菌床を傷つけてしまうと、傷ついた箇所から病原菌が入りこんで、残ったしいたけに悪い影響を与えてしまう可能性もあります。

間違った間引きをすると、菌床そのものが使えなくなってしまうので注意しましょう。

原木栽培の方法や収穫期の見分け方についてはこちらの記事をご覧ください
「しいたけの原木栽培について育て方を教えてください」
「原木しいたけの上手な取り方とは？収穫までの流れも確認」

同じほだ木で収穫ができる回数についてはこちらをご覧ください
「しいたけの原木栽培では1本のほだ木で何回収穫できますか？」