米づくりをはじめてまだ数年の新米農家です。試行錯誤しながら栽培していますが、いまいち米の収穫をいつ行うのがベストなのかわかりません。
早すぎて未熟米が出来たり、遅すぎて胴割れや着色が発生してしまいます。
米の収穫適期と見極め方を教えていただけないでしょうか。
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佐々木茂安
日本のお米をおいしくしたい。佐々木農業研究会代表/農業経営技術コンサルタント
収穫適期は開花期からの積算温度を参考にしましょう
人間の目で判断する方法
積算温度がわかれば、稲の収穫適期も予測することが可能です。しかし、最近では異常気象の影響で夏に猛暑日が続き、稲の生長が狂ってしまうケースがあります。
積算温度による予測は目安として捉え、最後は人の目で判断する必要があります。
判断をする方法でもっとも一般的なのは、黄色化(穂が緑色から黄色に熟すこと)率による診断です。
米の籾(もみ)は最初、緑色をしていますが、生育が進むと熟れてきて黄色っぽくなります。
稲穂(穂のついている稲のこと)を確認し、黄色っぽい籾が90%程度になった状態が収穫時期の目安です。
穂軸から枝が9本ほど生えている稲を10本ほど用意しておき、8本以上が黄色化率を9割超えれば収穫時期だと考えましょう。
10本すべてが9割を超える時期まで待つと、刈り遅れになると考えられます。
籾の水分値で確認する方法
一部の稲を収穫し、水分計で図ることで収穫時期を判断する方法もあります。
早生の場合、収穫に適した籾の水分は24%~28%ほどです。
この方法の課題は、籾の水分ムラが多いと正確な判断ができない点にあります。
初期の生育が不良だったときや、極端な疎植栽培、多収米では開花期がバラついて登熟(種子が次第に肥大すること)が揃いません。
水分を測る際、併せて開花期の早い籾をとって中の米が割れていないかを確認し、割れている場合は早めに収穫すると良いでしょう。
併せて、割れている場合は高温で乾燥するとさらに胴割れが多くなるので、乾燥温度に注意し、テンパリング(一時貯留(乾燥を一時止めて水分ムラを是正する工程))などの処置を行いましょう。
送風湿度は天候によって左右されるので、乾燥施設には湿度計を設置し、乾燥(除湿)速度に注意しましょう。
最近の乾燥機は、AIが判断し乾燥を調整しますが、旧式の場合は自分で判断する必要があります。乾燥機を購入すると目安になる資料がついているので、ぜひご確認下さい。
収穫時期の目安
収穫時期を把握するには温度を確認します。
どのような野菜や穀物も同じで、温度と収穫時期は密接な関係にあります。
そのため、収穫適期を知るには「積算温度」を確認しましょう。
積算温度とは、出穂期(4~5割の穂が出てきた時期)から毎日の平均温度を加算していった数値です。
地域により異なりますが、早稲(早く収穫できる品種)で田植えから50日、晩稲(遅く収穫する品種)で約80日ほどで出穂期を迎えます。
この出穂期から温度を加算していき、全国的に見れば品種や地域によって異なりますが大体880〜1000度ほどになった時期が収穫期の目安になります。
品種による収穫時期
品種によって、あらかじめ収穫時期がわかっており、これをもとにそれぞれの地域で早生、中生、晩生に分類されています。
新潟県での目安を紹介します。
例えば、早生品種「こしいぶき」の積算温度は最低950度と、一般的な品種よりも早く収穫適期を迎えます。
中稲品種「コシヒカリ」の積算温度は1000度~1050度で収穫適期を迎えます。
晩稲品種「新之助」の積算温度は、新潟県では1050~1100度を迎えます。
このように、米の品種によって収穫までの必要な積算温度の目安は異なります。積算温度がわかれば、稲の収穫適期を微修正して予測することが可能です。
積算温度による予測は目安として捉え、最後は人の目で判断する必要があります。
収穫作業以外の米作りの方法はこちらをご覧ください
「米作りの方法が知りたい!時期や田植えから収穫までの作業は?」
このお悩みの監修者
佐々木茂安
日本のお米をおいしくしたい。佐々木農業研究会代表/農業経営技術コンサルタント
滋賀県の改良普及職及び研究職を経て、2014年に「佐々木農業研究会」を設立。農業経営技術コンサルタントとして、栽培技術の指導や農業生産者の自己研鑽活動を支援。会員は秋田から愛媛まで80人。日本水稲品質・食味研究会および日本科学者会議(支部は滋賀県)会員