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観賞用のハス栽培の方法や気をつけるポイントが知りたい

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観賞用のハス栽培の方法や気をつけるポイントが知りたい

農家をしていますが、同じ集落の農家さんから水田を引き継ぐことになり、観賞用のハスの栽培にチャレンジしようかと検討しています。

しかし、ハスに限らず花き類の栽培をしたことはありません。

ハスの生産は、年間でいつ頃から準備を始め、どういった作業が必要になるのでしょうか?

日当たりや施肥などのポイント、また主な病害虫の種類など、全体像を掴めればと思っております。

金子明雄

京都花蓮研究会会長、元京都府立植物園園長

ハス栽培のポイントは、日差しと水をたっぷり与えることです

観賞用ハス(蓮)の特徴


ハスは日本でもなじみの深い観賞用の花です。ハス科ハス属の多年生水生植物で、池や沼でよく育ちます。

生長すると1.5メートルの高さに及ぶものもあり、7~8月には直径10~30センチメートルの花を咲かせます。花色には赤、ピンク、白や黄色などがあります。

レンコンはハスの地下茎が肥大したものですが、観賞用の花ハスのレンコンと食用レンコンとの大きな違いは太さの違いです。


花ハスの育て方


まずはハスの栽培スケジュールについて説明しましょう。

ハスの栽培時期と必要な環境


種レンコンを植え付ける場合、植え付けの時期は3~4月で、桜(ソメイヨシノ)が咲く頃が最適です。

それよりも早いと、植え付けた種レンコンや予備の苗が低温によって凍害を起こす可能性があり、注意する必要があります。またそれよりも遅いと、頂芽が伸びすぎるなど植え替えや初期の水管理が難しくなります。

最初は浮葉(うきは・うきば=水面に浮く葉)が広がり始め、1カ月ほどたつと立葉(たちは・たちば=水面から上に茎が伸びる葉)が現れます。

6月頃になると花芽が水中から伸び始め、水面に花芽が見えてから20日程で開花。7~8月が開花のピークとなります。

栽培は終日直射日光がよく当たる環境が理想的です(ただし、黄色系のキバナハスは日本の真夏の日差しには弱いので葉焼けを起こす場合があります)。背丈が伸びるため、風が強い場所は避けた方が無難です。

また、ハスの栽培には大量の水やりが必要となるので、栽培圃場は水が手配しやすい場所に設けることをおすすめします。

ハスを栽培するための圃場づくりについてはこちらをご覧ください
ハスの花を栽培するのに最適な土の性質は?



種レンコンの取り方・株分け


種(実)から発芽させ栽培することもできますが、一つの実が一つの品種となるため、実から育成する場合、多くの栽培鉢や圃場で栽培するまでには数年を要するので、種レンコンから栽培するのが一般的です。

種レンコンは前年に栽培したものを植え替えして利用するか、入手します。

栽培した容器をひっくり返し、泥を落として、頂芽がしっかりしたもので、中程度の太さのレンコンを選んで使ってください。

芽が3カ所ほど付くよう、できるだけ3節を切り出しましょう。やむを得ない場合は、レンコンの太さにもよりますが頂芽がついている1節でも開花は期待できます。


容器と用土の準備


種レンコンを植え付けるためには、容器と用土が必要です。

栽培には粘土質の土が最適です。田んぼの土が最も理想的ですが、市販の用土をブレンドして作ってもよいでしょう。

容器栽培では、水鉢(市販では睡蓮鉢など)、ポット、甕(かめ)などを使います。

品種のサイズによって直径20~40センチメートルが基準ですが、大型品種であれば直径50~60センチを超えるものがベターです。

容器の口が大きいほうが、日光が奥まで当たりやすく、水も多く貯えられるので、育てやすいでしょう。火鉢のように上部にひさしがあるものは、内部へ光が入りにくく、水が温まらないので使用しません。

用土は赤玉土(あかだまつち)小粒や荒木田土(あらきだつち)を7割、完熟した腐葉土(フルイにより枝葉を除く)を3割配合してください。

土壌ph調整のため、少量の苦土石灰(くどせっかい)も混ぜておくと良いでしょう。水を加えてよく練った状態で使います。

田んぼの場合、5年程度は連作障害などが余り生じないですが、それ以上となると生育が悪くなるので、別の圃場で栽培します。


植え付け・植え替え


まずは容器の底に土を敷き、元肥を撒きます。

肥料は緩効性化成肥料(かんこうせいかせいひりょう=効果が長く続くタイプで、鉱物など無機物を原料に、化学的に作られた肥料)を数粒撒いてください。肥料は、5-5-5など肥料分が比較的少ないものがよいでしょう。

その上に、容器の6割ほどの高さまで土を入れ、そこに水を入れ、固練りの状態にします。種レンコンの芽を上方向にしながら土の中に頂芽の部分からレンコンの2/3ほど埋め込みます。レンコンの後部は土の面より出しておきます。

田んぼの場合、植え付け翌年度以降は、春に浅めの耕耘を行い、土壌環境を改善するようにします。また、花の出荷を考える場合は、地域にもよりますが出荷の40日程前に、筋状に耕耘を行い、開花調整をします。


置き場、水やり、肥料などの管理


ハスを上手にたくさん咲かせるポイントは、十分な日当たり確保と水の管理です。

全時間帯で直射日光が当たる場所で、たっぷり日差しを浴びられるようにしてください。花が咲くには1日4~6時間以上の日照を必要とします。

追肥は植え付け後1カ月に1回程度で、土の中に入れ込みます。根が張り、根に肥料があたると判断される場合は水中に撒きます。

ハス用の肥料か、粒が大きめの化成肥料を与えましょう。追肥は、葉が緑色している間は行います。

水は、立葉が出る頃は容器を満水にするようにし、なくなった分を容器に継ぎ足すようにしましょう。水やりは気温の低い朝のうちに行います。

花芽などは夕方から伸長を始めるので、昼頃の水やりは、たまり水を使用することが好ましいです。


収穫から休眠まで


開花時期に、つぼみを付けている株の茎を収穫します。収穫は手作業で、1本1本を手で折っていく農家も、鎌で刈り取っていく農家もあります。

切花を楽しむ場合は、水中で茎をカットし、茎の中に泥が入るよう鉢中でトントンとし、茎中から水が流れ出ないように指で押さえて処理することが重要なポイントになります。

開花のピークを過ぎて秋になると、やや小さい止め葉(とめは、とめば)という葉が現れます。止め葉はハスの株の生長が終わるサインで、その先で地下茎の肥大が始まりレンコンが生じ、また葉や茎が枯れ始めます。

また花びらが散ると、中のハチの巣型の部分(果托)からハスの実が現れます。花後40日程度で茶黒に変化した実がなります。未熟なものを食する場合などは開花後14日~20日程度で採取します。

秋から冬の初めには休眠期となります。地下茎(レンコン)は10月頃までには太く育っており、翌年栽培する種レンコンとして活用できます。種レンコンは乾燥させないように水管理に注意してください。

地域の事情により圃場に水が手当てできない場合は、やむを得ないです。レンコンは、品種によりますが深さ40~80cm程度の所にあるので、一定生き残ると思います。


ハスの栽培で気をつけたい病害虫


最後に、ハスに付く病害虫について説明します。ハスは比較的病気にかかることが少ない植物ですが、害虫は付きやすいので注意が必要です。


ハスによく発生する病気


特に気をつけたい病気は、腐敗病です。

菌が水や土を通してハスが罹患し発症する病気で、葉が黄色くなってやがて枯死に至ります。

有効な対策は、健全な種レンコンを選ぶこと、年中水で湛水した状態にすること、毎年植え付け時には新しい土を用意し、使いまわしをしないことなどです。

圃場で生じた場合は、別の圃場で栽培します。

腐敗病が生じた圃場は、乾燥させ、石灰窒素の散布を行い、耕耘することを3年ほど行うなどの対策をするか、2年ほど水稲を作付けして再利用する工夫が必要となります。

ほかにも鉄欠乏症やうどんこ病にも注意してください。


こんな害虫に注意


葉や茎によく付く害虫は、アブラムシ、ヨトウムシなどです。見過ごしていると株全体を枯らせてしまう恐れがありますのでこまめにチェックしましょう。

発生初期であれば、すぐに虫の付いた葉を除去してください。

予防にはオルトラン粒剤などの薬剤も有効です。

このお悩みの監修者

金子明雄

京都花蓮研究会会長、元京都府立植物園園長

京都花蓮研究会は、昭和初期まで京都市の南にあった巨椋池に咲いていた蓮の保存を図り、さらに花蓮品種の改良、収集、保存、あわせて栽培技術を考究し、また花蓮の普及を目的として、観察会や研修会などを行っています。

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