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ビワを種から栽培するのは現実的?繁殖はどうすべき?

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ビワを種から栽培するのは現実的?繁殖はどうすべき?

果樹栽培では苗木を植え付けるのが一般的ですが、ビワは種から育てることはできるのでしょうか?

空いている圃場があるので、そこで果樹の栽培をはじめてみようかと考えています。

何を育てようか迷っていたところ、家庭菜園をやっている近所の方から、ビワの種をもらいました。

苗木を購入するのにはお金がかかりますし、まずは試験的に初めてみようと考えていたので、種からでも栽培できるのであれば、やってみようかと検討しています。

時間がかかることは理解しているのですが、収量や品質でのデメリットはあるのでしょうか?

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

ビワは種から育てて結実まで8〜10年、栄養繁殖(接ぎ木、挿し木など)が主流です

ビワ果樹の増やし方と種


ビワに限らず果樹栽培における繁殖には、種子繁殖と栄養繁殖の2つの方法があります。

種子繁殖


種子をまいて繁殖する方法で、実生法(みしょうほう)とも言います。

しかし果樹はどの品種であっても、通常は様々な変異が現れ、その品種と同じ特性を持つ個体を得ることができません。

種子繁殖では一般に個体ごとの変異が大きく、成木の果実収量は多いものの、果実サイズは小さく品質も劣ります。

そこで、一般的に果樹栽培では、実生は台木(接ぎ木をするための元となる樹)として用いられます。


栄養繁殖


果樹は、ほとんどが栄養繁殖によって増殖されています。

実生(種子から育てた個体)は花を付ける能力を持たない幼木相の期間(果樹の種類によって異なります)が長いため、すでに成木相となった部位を利用して繁殖し、早期に収穫をすることが目的です。

栄養繁殖の方法は、主に接ぎ木、挿し木が主流となっています。

このように、種子繁殖による実生苗の特徴として、樹勢は強いですが結果年齢に達する年数が長いのが欠点(種から育てて結実まで8〜10年、環境によっては10年以上要する場合もあります)です。

さらに種子繫殖では均一な形質の繁殖が見込めないので、接ぎ木の台木を養成すること以外には用いられないのが現状です。


ビワの播種


ビワを種子繁殖する場合には、種のぬめりをしっかりと除き、種の周りの茶色い皮を剥きます。

十分湿らせた培養土に指で穴を開け1粒ずつ種を入れます。

種の大きさの倍の土をかぶせて、発芽までは土が乾燥しないようにし、直射日光の当たらない場所で管理します。


ビワの播種のポイント


ビワの播種の適期は果実の出回る5月〜6月頃が良いでしょう。

ビワは発芽率も高く、乾燥に注意すれば1カ月ほどで発芽します。

苗木が十分に育った段階で、プランターなどに種をまいた場合は、地植えに植え替えます。

ただし、発芽してくるまでに病気にも感染しやすいので、よく観察しておきましょう。


苗木から育てる場合


ビワを苗木(接ぎ木苗等)から育てる場合、結果までの年数は3〜5年といったところです。

苗木の植付けは春(3月〜4月)または秋(10月)に行います。

ビワは、温帯南部から亜熱帯地域に原生(自生)分布しており、低温に弱いので、冬でも日が当たる温かい場所に植えるのがポイントです。

苗木から育てるポイントはこちらをご覧ください
ビワの栽培は苗木からどう繁殖させるべき?

このお悩みの監修者

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

琉球大学農学部を卒業後、和歌山県庁に入庁して農業改良普及所の技師や、果樹試験場の研究員などを歴任し、2009年退職。同年、農業生産法人「有限会社神内ファーム21」に入社し、南方系果樹の研究を経て、2015年から南九州大学環境園芸部果樹園芸学研究室の講師に。2021年同大学・短期大学の学長に。2022年5月、学長退任後も教授として引き続き学生を指導する。

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