将来、果樹栽培で就農したいと考えている大学生です。
今年ビワ農家さんに研修へ行くのですが、ちょうどビワの摘果の時期と重なるので、大まかな知識を頭に入れておきたいと思っています。
ビワの摘果はどのように行えばいいのでしょうか?
また、摘果の目安を教えてほしいです。
将来、果樹栽培で就農したいと考えている大学生です。
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前田隆昭
南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授
ビワの摘果は1果房につき3果程度が目安です
ビワの特徴と栽培管理
ビワは1つの花房に100個以上の花蕾がつきます。
そのままでは養分を消費しすぎてしまうので、全体の1/2から1/3まで減らす摘房という作業があります。
摘果に先んじて、開花期前の10月から11月に摘房(花房数を1/2から1/3に減らす)、摘蕾(中間の3〜4段を残し、各先端部の蕾を摘む)といった作業が重要となります。
ビワの摘果と果実
果樹は摘果時期が早いほど果実が大きくなり、熟期も早くなります。
摘果が早いほど果実の発育が良くなるのは、樹への負担が軽減されて残された果実への養分が潤沢になるためです。
一般的にビワの摘果の適期とされるのは、気温が上昇して果実が肥大し始める3月〜4月ごろです。
果実の外観は摘果の時期よりも、袋がけの時期による影響が大きいようです。
通常ビワ栽培では、摘果と袋がけを同時作業で行います。
摘果が早いほど外観も良く、5月以降の摘果は葉ずれ、枝ずれなどの機械的障害、病害虫の被害果、そばかすなどの生理障害果が増加する傾向にあり外観が悪くなります。
寒害の影響が去る3月上旬以降、4月上旬までは収穫果の形質の差が小さいので、この期間内に摘果すると良いでしょう。
ビワの摘果方法
摘果の際に必ず間引く果実は、寒害果、病虫害果と傷果です。
これらの果実は摘果後にまったく発育しないか、収穫時まで傷が残るので商品価値が下がってしまいます。
残された無傷の果実の中で、目的の果数を残すようにします。
発育の進んだ大きな果実で緑色の濃いものを選びましょう。
細長いものよりも丸く、果実の中心部分(赤道部)が張っているものの方が種子がたくさん入って大きくなる可能性があります。
1果房に残す果実数は、「茂木」やその系統の早生種で3〜5個、「田中」のような大果種で1〜3個が目安です。
果実を1か所にまとめて残すと、肥大に影響したり着色不良果や変形果発生の原因となるので、できるだけ離して残します。
1果あたりの葉数が20枚程度を基準とし、樹全体の葉数に対しこの割合で果実が残るように摘果すると良いでしょう。
1小果梗に1果を原則として、袋がけしやすいように配置するのもポイントです。
袋がけ作業についてはこちらをご覧ください
「ビワの袋かけ作業は必要ですか?無袋栽培はできないのでしょうか?」
このお悩みの監修者
前田隆昭
南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授
琉球大学農学部を卒業後、和歌山県庁に入庁して農業改良普及所の技師や、果樹試験場の研究員などを歴任し、2009年退職。同年、農業生産法人「有限会社神内ファーム21」に入社し、南方系果樹の研究を経て、2015年から南九州大学環境園芸部果樹園芸学研究室の講師に。2021年同大学・短期大学の学長に。2022年5月、学長退任後も教授として引き続き学生を指導する。