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ライチ栽培で使う肥料について教えてください

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ライチ栽培で使う肥料について教えてください

ライチ栽培を考えている農家です。最近、熱帯果樹について農家仲間たちと話すことが多くなり、ライチ栽培に興味がわいています。

ライチは暖かい気候を好むイメージがあるので、温暖化が進んでいるうちの地域でも、栽培できるかもしれません。

しかし、これまではほかの作物を育てていたので、土壌作りや肥料の準備からはじめる必要があります。

ライチ栽培には、どんな肥料を与えればいいのか教えてください。

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

ライチ栽培で使う肥料は窒素・リン酸・カリウムが基本になります

ライチ栽培での肥料の役割


ライチの樹を成長させ果実を収穫するためには、肥料が必要です。生育段階や栽培時期に肥料を与えましょう。ライチ栽培では、収穫量や品質を安定させるために、肥料が大きな役割を果たします。

また、肥料をしっかりと効かせるために、土壌にも気をつける必要があります。

ライチは弱酸性の土壌を好むため、植え付け前に土壌phを5.5〜6.0くらいにしておきましょう。


ライチ栽培に必要な肥料


ライチに与える肥料では特に、窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)に注意して施肥します。

これらの肥料成分は肥料の3要素とも呼ばれ、ライチ栽培においても重要な成分になります。

販売されている肥料には、窒素・リン酸・カリウムが混和されている肥料があります。混和されている肥料を使用する場合には、果樹用の肥料や、リン酸がやや多めの肥料を選ぶと良いでしょう。

それぞれの肥料成分の働き
窒素・リン酸・カリウムの主な働きは以下の通りです。

窒素

葉枝の成長に大きく影響します。初期成育にも重要な役割を果たします

リン酸

花や実をつけるのに必要な栄養素です。根張りの促進にも役立ちます

カリウム

茎や根を丈夫にするのに必要な栄養素です。果実の肥大にも役立ちます

各成分のもつ役割を理解して、ライチの状況を見ながらどんな成分が必要なのか考えましょう。

マグネシウムやカルシウムなどのミネラルにも着目


植物の生育で大切な3要素の他に、マグネシウムやカルシウムなどのミネラルも大切です。

カルシウムは植物の細胞を強くし、マグネシウムは光合成に関わる重要な成分になります。

不足すると欠乏症が現れることもあるので、注意しましょう。


ライチ栽培で肥料を与える時期


春~秋は定期的に与える


ライチは、気温が暖かく生育が進む4〜11月頃に、2〜3カ月に1度肥料を与えます。

実をつけてからは、果実の肥大や収穫時期に肥料が大きく影響を与えることもあるので、施肥量には注意が必要です。

また、収穫した後には、ライチが来年に向けて養分を蓄える時期になるため、肥料を忘れずに与えましょう。


肥料をまく位置


肥料は、樹木の根の先端辺りに施肥します。

根の先端は、おおよそ樹の枝先付近にあるので、その辺りを目安にします。この時、穴を掘って施肥したり、肥料に土をかぶせたりすると効果的です。

しかし、穴を掘る際に根を傷つけないよう注意しましょう。


即効性と緩効性の使い分け


肥料には、すぐ効果が現れる「即効性」のものと、ゆっくり効果が現れる「緩効性」のものがあります。

基本的にライチ栽培では、ゆっくり効く緩効性の肥料を与え、即効性の肥料で調節しながら育てるのがおすすめです。

即効性ということでは、液体肥料などを用いた葉面散布もおすすめです。

すぐに効果が出ないと過剰に施肥してしまいがちですが、与えすぎないようにしましょう。過剰に施肥しすぎると、取り返しがつきませんので、少量を複数回にわけて施用することをおすすめします。


ライチ栽培の肥料で注意したいこと


窒素が多すぎると花芽がつきにくい


ライチに肥料を与えるときには、肥料が過剰にならないようにします。特に、窒素が過多の状態になってしまうと、花芽がつきにくくなってしまうことがあります。

上記で説明しましたが、窒素は葉枝の成長に大きく影響しますので、過剰施用は、樹ばかりが大きくなって花芽になりません。

樹勢が弱い時に必要となる窒素も、過剰に与えてしまうと悪影響を及ぼしてしまうのです。

肥料をまく際には、樹の状態(樹勢や葉色など)を観察しながら施肥しましょう。


葉面散布は濃度に注意


ライチの根元に肥料をまく以外にも、葉面散布をして葉から栄養を吸収させる方法も有効です。

しかし、その場合には、液肥の濃度に注意しましょう。

液肥の濃度が濃すぎると、葉が焼けてしまったり障害がでたりする恐れがあります。

濃度の濃い液肥の使用は避け、上記で説明したように、薄くても複数回に分けて与えるようにして下さい。


肥料が効く環境をつくる


肥料の効果を高めるためにも、ライチの育つ土壌環境を整えることが大切です。

例えば、排水性が悪いと根が痛み、肥料を上手く吸収できなくなってしまいます。また、土壌の保肥力が低いと肥料成分が土壌から流れやすくなります。

肥料を与えても思うような効果が得られない場合には、土壌環境に注目してみましょう。


ライチの生育状態を把握して適切な肥料を与えましょう


ライチへの肥料は、樹を大きくしたり、実を着果させたり、肥大させるための栄養分として肥料が必要になります。

特に、窒素・リン酸・カリウムは主要な成分となるため、欠かさないことが大切です。

日々ライチの状態を観察しながら、過不足なく適量の施肥を心がけましょう。

このお悩みの監修者

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

琉球大学農学部を卒業後、和歌山県庁に入庁して農業改良普及所の技師や、果樹試験場の研究員などを歴任し、2009年退職。同年、農業生産法人「有限会社神内ファーム21」に入社し、南方系果樹の研究を経て、2015年から南九州大学環境園芸部果樹園芸学研究室の講師に。2021年同大学・短期大学の学長に。2022年5月、学長退任後も教授として引き続き学生を指導する。

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