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レモンの栽培を考えていますが、品種について特徴を教えてください

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レモンの栽培を考えていますが、品種について特徴を教えてください

新規就農してレモンを栽培したいと考えています。

栽培についてはひと通り学びましたが、レモンには、耐寒性がある品種や病気に強い品種など、さまざまな種類があると聞きました。

収量や作型も違うので、どの品種を栽培しようかと悩んでいますが、具体的なレモンの品種やそれぞれの特徴を知りたいです。

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

レモン栽培では育てやすさや特性をふまえて品種を選ぼう

レモン栽培で品種を選ぶ際に見るべきポイント


食味・香り


レモンは品種により食味と香りに違いがあります。

一般的に酸味が強いイメージのあるレモンですが、酸味の強い品種からマイルドな味わいの品種までさまざまです。

また、香りに関しても目の覚めるような爽やかな香りがするレモンもあれば、香りが控えめなレモンもあります。

それぞれの品種特性を把握して食味や香りにこだわったレモンを栽培してみるものよいでしょう。


耐寒性


レモンは寒さに弱い果樹です。そのため、特に露地で栽培する際には、耐寒性のある品種を選ぶのがおすすめです。

具体的には、国内でもっとも生産されており耐寒性に優れた「リスボン」が挙げられます。他にも耐寒性のある品種はいくつかあるので、その特徴を比較しながら選ぶと良いでしょう。

しかし、耐寒性のある品種でも霜や雪の影響がある地域では、生育に限界があります。その場合は、ハウスで栽培して越冬するようにしましょう。


トゲの有無


通常レモンの木にはトゲがありますが、品種によってはトゲが小さいものやトゲがほとんど気にならないものもあります。

レモンの木にトゲがあると、作業中にものをひっかけたり肌を傷つけたりと作業性の低下につながってしまいます。また、レモンの葉や実に傷をつけ病気の原因となってしまうこともあります。

そのため、トゲの有無もレモンの品種選びの大切なポイントです。


レモン栽培でおすすめの品種


リスボン

レモンの品種(リスボン)
リスボンはレモンの品種の中で寒さに強く、国内でも多く栽培される品種です。

レモンは一般的に寒さに弱いですが、耐寒性があるリスボンは国内でも栽培しやすく初心者にもおすすめといえます。露地で栽培する場合には、真っ先に候補として挙げられる品種です。

果実は香りが強く、酸味も強めとなっています。また、樹勢が強く木が大きくなりやすいのも特徴です。


ビラフランカ

レモンの品種(ビラフランカ)
ビラフランカは、トゲが少ない品種です。

トゲが少ないため、レモンの実や葉を傷つけることが少なく、トゲによる病気の心配を減らすことができます。また、作業がしやすいというメリットもあります。

そのため、トゲが苦手な方や実や葉の傷つきに悩んでいる方にはおすすめの品種です。


ユーレカ

レモンの品種(ユーレカ)
酸味と香りの品質で高い評価を得ているのがユーレカです。

ユーレカは「リスボン」や「ビラフランカ」と比べ、樹勢がやや弱く耐寒性もあまり高くありません。しかし、ユーレカは四季咲き性が強いため、ハウス栽培に適しています。また、豊産性であるため、ハウス栽培では樹勢が強くなりすぎず落ち着いているため、育てやすいというメリットもあります。

ハウス栽培で育てやすく、高品質のレモンを探している方には、おすすめの品種となります。


りのか(璃の香)

レモンの品種(璃の香)
りのかはかいよう病に強い品種として育成されたレモンです。

かいよう病はレモン栽培において防除が難しい病気の一つでした。そのため、りのかはかいよう病に悩む農家にとって非常に嬉しい品種です。

さらに、りのかは耐寒性が高く樹勢も強い品種です。食味や香りに関しては、酸味はまろやかで、香りは「リスボン」と比較すると穏やかで優しいです。


直売や加工におすすめな個性のあるレモンの品種


マイヤー

レモンの品種(マイヤー)
マイヤーレモンは、酸味や苦みが少なく香りがやや甘い品種です。完熟すると果皮が黄色からオレンジ色に変わっていく特徴があります。

レモンとしては甘味が強く皮も薄いため、加工したりお菓子に使ったりとさまざまな活用方法があります。

マイヤーレモンの木は耐寒性も強くトゲも少ないので、育てやすく取り組みやすい品種です。


ピンクレモネード

レモンの品種(ピンクレモネード)
見た目に個性のあるレモンとしてピンクレモネードがあります。

果皮の見た目は全体が黄色く緑色のストライプ模様が入っており、果肉はピンク色です。味は酸味があり、種が少ないのが特徴です。

見た目の華やかさがあり、個性が視覚でわかりやすい品種となっています。直売所や道の駅などで直販するのにも適している品種です。


ポンテローザ

レモンの品種(ポンテローザ)
ポンテローザの最大の特徴は、通常のレモンの倍以上はある見た目の大きさです。大きいものでは1キロを越すものもあるほど、見た目のインパクトがあります。

表皮はごつごつとしており、皮はややかたく厚めのレモンとなっています。

また、果実の重さがあるので、一つの実から果汁が多くとれるメリットもあります。


レモンの品種特性を理解してレモン栽培に活かそう


レモンは、品種によって食味・香りの違いがあります。また、耐寒性や耐病性といった育てやすさに影響するポイントもあります。

レモンには多くの品種があり悩んでしまいますが、まずは国内で多く栽培されており耐寒性が非常に高い「リスボン」を候補に考えていくのがおすすめです。

その後、品質やトゲの有無など自分が求める特徴を探しながら品種を選定していきましょう。

レモン栽培における品種の特徴を把握して、レモン栽培を始めてみてはいかがでしょうか。

このお悩みの監修者

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

琉球大学農学部を卒業後、和歌山県庁に入庁して農業改良普及所の技師や、果樹試験場の研究員などを歴任し、2009年退職。同年、農業生産法人「有限会社神内ファーム21」に入社し、南方系果樹の研究を経て、2015年から南九州大学環境園芸部果樹園芸学研究室の講師に。2021年同大学・短期大学の学長に。2022年5月、学長退任後も教授として引き続き学生を指導する。

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