大敷網と定置網の違いを教えてください

現在では定置網の一種である大型落し網を大敷網と呼んでいます

大敷網とは？（大敷網の変遷）

大敷網とは、魚の通り道に網を張って魚を漁獲する、定置網の台網類の一種です。

大敷網は大型定置網の初期のもので、江戸時代初期から明治末期まで全国的に普及し、イワシ類、ニシン、ブリ、マグロ類など、沿岸に回遊する魚を漁獲していました。

構造は、魚の通路を遮断して誘導する垣網と、網に入った魚を漁獲する袋網（囲網）の2部で構成され、袋網の形は三角形に近く、その一辺が魚群の入口として開口しています。

※明治時代まで使用されていた大敷網
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/jx3/cnt/f460005/p610217.html

陸上の高台や櫓(やぐら)に見張り台を設置し、魚群が入網するのを確認してから網起こしをしますが、袋網の網口が広いため、魚が入網しやすい反面、逃げ出しやすい構造でもありました。

そのため、現在では改良され、ほとんどが漁獲効率のよい「落し網類」へと姿を変えています。

こういった背景から、「大型落し網」を「大敷網」と呼んでいる地方があります。

また、徳島県の鞆浦漁協では、伝統的な漁法を存続させるために大敷網の漁業体験を行っており、日本各地でも、大敷網漁を行っている漁師がいます。

定置網の構造についてはこちらをご覧ください
「定置網はどういう構造で魚を漁獲しているのでしょうか？」