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ピーマンにはどのくらい日当たりが必要?日焼け対策のやり方は?

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ピーマンにはどのくらい日当たりが必要?日焼け対策のやり方は?

周囲に物がない、日当たりの良い畑を持っていて、ピーマン栽培を検討中です。

ピーマンは日に当てて育てたほうが良いイメージがありますが、当てすぎも良くないと聞きました。

最近の猛暑はとにかく想像以上で、一体どのくらいの日照量が必要なのか、イメージが湧きません。

どのように管理するのが良いのでしょうか?

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

ピーマン栽培での日当たりは1日「4~6時間以上」。 でも強すぎる直射日光には注意を

ピーマンが健全に育つためになぜ日光が必要?


おいしいピーマンは果皮が厚く、表面はツヤのある緑色です。

緑色のピーマンは若穫りした果実で、収穫せずに完熟させると果実は赤色や黄色に変化します。

ピーマンにとって日光が大事な理由は3つあります。

1つ目は、「光合成によって大きく成長できる」という点です。

ピーマンは日光のエネルギーを使って、二酸化炭素と水からデンプン(養分)や糖分を作り出すことができます。

これらは植物の生長や実の形成に利用されるため、たくさん光を浴びることが、ピーマンの品質や収量アップにつながるのです。

実が大きくならない場合の原因と対処法はこちらをご覧ください
ピーマンの実が大きくならない。考えられる要因と対策は?



2つ目は、「日光には、効率的に光合成するために必要な波長の光が含まれる」という点です。

ピーマンに豊富に含まれる葉緑素(ようりょくそ=緑色の色素でクロロフィルとも呼ばれています)は、日光の中の青色光や赤色光を選んで吸収しています。

これらの光はそれぞれ、光合成を効率的に行う重要な役割を果たしています。

3つ目は、さらに日当たりが良いと、植物の葉や茎が健全に生長し、病気や害虫に対する抵抗力も高まるという点です。

十分な日光を浴びることで、病害虫に侵されにくくなる効果も期待できるでしょう。

ピーマン栽培で注意すべき害虫についてはこちらをご覧ください
ピーマン栽培で気をつけるべき害虫は?特徴や防除方法を教えて



日光を好むピーマンを育てるのに適した場所とは


それではピーマン栽培に向いているのは、どのような条件を満たす場所なのでしょうか。

1日あたり4~6時間以上、日が当たる場所


ピーマンの栽培は、1日あたり「4~6時間以上」日が当たる場所が好ましいです。

野菜の中(レタスやハーブなどの葉物野菜)には、施設内でLEDライトを照射して栽培できるものもありますが、ピーマンはあまり適していません。

もちろん、LEDライト栽培でも不可能ではありませんが、太陽光が最適です。


時間による日照量の影響が少ない場所


また時間によって日照量が変化しすぎない場所が良いでしょう。周囲に遮るもののない南向きの場所が理想的です。

一日中日光を受けることができて、建物や背の高い植物の近くなど、時間により陰の影響を受けないところで栽培してください。


適度な日光を確保するのに気をつけるポイント


十分な日光を確保するために、栽培上気をつけたいポイントを2つ説明します。

株間50センチを目安に、密植しないこと


植え付けの間隔が狭いと、伸びた葉や茎が密集します。上の葉が邪魔をして下の方まで十分な日光が届きません。

その結果、株全体の成長を阻害してしまいます。

また畑全体に茎や葉が生い茂ると、全体的に影ができて光合成量が抑えられてしまうおそれがあります。

株間は50センチメートルを目安に植え付けましょう。


わき芽かきや剪定をこまめに行うこと


植え付け後はどんどんわき芽(茎と葉のつけ根から出る芽)が伸びてくるので、大きくならないうちに摘み(わき芽かき)取ってください。

不要な枝の剪定をこまめに行うことで、株元や下の方の枝にも光が当たります。

生長の様子を見ながら、古い葉も段階的に取り除いてください。

一度に多くの葉を除去してしまうと、光合成できる量が不足し、生長が鈍る可能性があります。

わき芽かきの方法はこちらをご覧ください
ピーマンのわき芽の処理方法は?コツや注意点も知りたい



日当たりが強すぎる場合の対処方法


日照量が大切ではありますが、近年は夏場に「酷暑」「猛暑」と呼ばれる日が続く傾向があります。

強すぎる直射日光はどのような影響を与えるのでしょうか?

厳しい直射日光はトラブルの原因にも


高温を好むピーマンですが、30℃を大幅に超える日が続くと、花が落ちたり生育が鈍ったりする株が増えます。

また、受粉不良も起こりやすく、種の数が極端に少ない果実が付いたり、変形果になることもあります。

さらに、直射日光を浴びすぎるとともに、土壌が乾燥することで「日焼け果」になる場合があります。日焼け果は表面が白く陥没する生理障害です。

加えて、低温期に強い直射日光にさらされると「黒アザ果」が発生することもあります。

低温や日光という外部刺激に対して、ピーマンは、アントシアニン色素を発現させて身を守ろうとする働きによるものです。

日当たりが強すぎるのではないかと心配な場合は、以下のような方法で対処しましょう。


遮光ネットやシート、寒冷紗などを張る


株や畝(うね=土を細長く直線状に作った山)の上に支柱などを立てて、遮光ネットや寒冷紗(かんれいしゃ/農作物を虫や風、光などの被害から守る資材)を張っておくと強い日射からピーマンを守ることができます。


葉から水分が抜けないよう、水やりもしっかり行う


光のエネルギー以外で光合成に必要なのは、「二酸化炭素」と「水」です。

日射が強い時期には、水分が葉から蒸散(水蒸気になって外に放出されること)しやすくなります。

株の中の水分が不足すると、しなびたり生育が悪くなったります。しっかりと水やりをするようにしましょう。


種まき時に日光を当てるのはNG


またピーマンの種は嫌光性(けんこうせい)で、種をまいた後に光を当てると発芽が抑制されてしまう性質を持っています。

ピーマンを種から育てるときは土に穴や溝を作ってまき、光が当たらないようにしっかり土で覆ってください。

このお悩みの監修者

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

琉球大学農学部を卒業後、和歌山県庁に入庁して農業改良普及所の技師や、果樹試験場の研究員などを歴任し、2009年退職。同年、農業生産法人「有限会社神内ファーム21」に入社し、南方系果樹の研究を経て、2015年から南九州大学環境園芸部果樹園芸学研究室の講師に。2021年同大学・短期大学の学長に。2022年5月、学長退任後も教授として引き続き学生を指導する。

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