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ピーマンのわき芽の処理方法は?コツや注意点も知りたい

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ピーマンのわき芽の処理方法は?コツや注意点も知りたい

葉野菜を中心に栽培している農家ですが、新たにピーマンの栽培をはじめようかと考えています。

基本的な栽培方法については学んでいるのですが、近くのピーマン農家さんからは「収量を上げたいのであれば、わき芽の処理をちゃんとやったほうがいい」とアドバイスをもらいました。

具体的にどうやればいいのかは教えてくれなかったので、わき芽の適切な処理方法について教えていただきたいです。

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

ピーマン栽培ではわき芽をしっかり取って収量アップ!傷口からの病気の感染には要注意

植物の「わき芽」とは?


植物の「わき芽」とは「葉の付け根から出てくる芽」のことです。

わき芽を上手に処理すれば、果実を付ける枝だけに栄養を上手く集中させて、繰り返しおいしいピーマンを収穫することができます。

ピーマンのわき芽を取らないとどうなる?


それではピーマンのわき芽を取らずに放置していると、どのようなデメリットがあるのでしょうか。おもに以下の3つの点でリスクが増大します。

①株の栄養分がわき芽に奪われて、果実の肥大に必要な栄養が不足します。その結果、収穫量が減ったり、サイズが小さくなってしまったりする可能性があります。

②わき芽が成長しすぎると植物全体のバランスが崩れ、株全体が過剰に茂りやすくなります。株の通気性や光の取り込みが悪くなり、病気や害虫も発生しやすくなります。

③わき芽が成長しすぎ株の中で密集すると、後に必要な剪定や追肥などの管理作業が大変になります。また、収穫もしづらくなり、手間が増えます。


栽培を効率化し十分な収量を確保するためにも、わき芽処理は必要不可欠です。

実が大きくならない原因についてはこちらをご覧ください
ピーマンの実が大きくならない。考えられる要因と対策は?



ピーマンのわき芽処理の準備


それではピーマンのわき芽処理の方法について具体的に解説しましょう。まずは準備編です。

なお、わき芽の処理のことを、一般的には「わき芽かき」と呼びます。「芽かき」や「わき芽摘み」と呼ばれることもありますが、同じ作業のことを指します。

わき芽かきを行う時期はいつ?


ピーマンのわき芽かきを最初に行う時期は、株のうち最初に付く花(=一番花)が咲いた後です。一般的な栽培条件では、一番花が付くのは5月から6月にあたります(栽培地域によって若干異なります)。

根が土壌にしっかり張った(=活着した)後のほうが、株にとってわき芽かきをしても負担になりません。活着が完了するのは定植後数日~1週間程度が目安です。

畑への植え付け(=定植)から3~4日後に一番花が咲くので、特に問題なければその頃に支柱立てなどと一緒に作業すると効率的でしょう。


わき芽かきに必要な道具


ピーマンのわき芽を取るために特に道具は必要ありません。短いわき芽は柔らかいので、簡単に手で取れます。

さらに作業を進めやすくするために、汚れが付着するのを防ぐ手袋や、摘んだわき芽を入れるためのバケツなどがあると良いかもしれません。


ピーマンのわき芽かきの手順


ここからはピーマンのわき芽処理の手順を3段階に分けて説明します。

初回のピーマンのわき芽かきの方法は「実を収穫する枝を何本残すか」という栽培方針(=仕立て方)によって異なります。

ピーマンは2~4本仕立てにするのが主流です。ここでは2本仕立てを例に説明します。

わき芽かきのやり方1 一番花が付いた下のわき芽は伸ばす


一番花が付いているのを確認したら、その下にあるわき芽を確認してください。このわき芽はよく伸びるので、収穫時までそのまま伸ばします。

これで、花の付いた「主枝」(しゅし=株の中で一番太い幹と一番花の下から分岐した枝も主枝)とし、主枝2本でピーマンを育てます。

主枝2本のそれぞれの側に支柱を立てて固定し、生長する方向を誘導してください(=誘引)。

これ以降、主枝に付いた果実を収穫していきます。


わき芽かきのやり方2 主枝の下のわき芽はすべて摘み取る


残した2本の枝よりも下にわき芽が出てていたら、すべて摘み取りましょう。

親指と人差し指でつまんでねじるようにして取ると、簡単に取れます。

小さすぎるとかえって摘みにくいので、出たてのものは少し様子を見て、伸びてきてから取るようにするのがおすすめです。


わき芽かきのやり方3 定期的にわき芽を取り除く


その後は定期的にチェックして、わき芽を伸ばしすぎないように管理します。

水やりや追肥の時に株をよくチェックし、5〜10センチメートル程度に成長したものを見つけたら、すぐに摘み取るようにすると良いでしょう。


わき芽を取る作業のポイントや注意点


最後に、ピーマンのわき芽かきのポイントを確認しておきましょう。

わき芽かきや剪定は植物に傷をつける作業です。ピーマン栽培の大敵は、この傷口に病原菌が侵入して、株が病気に感染してしまうことです。

わき芽処理の作業が病気の原因になってしまわないよう、以下のような点に注意しましょう。

晴れた日の午前中がベストタイミング


わき芽かきの作業は晴れた日の午前中に行うのがベストです。

できるだけ雨の日は避けてください。

雨の日や湿気の高い日は、芽を摘んだ後の傷口が乾きにくいためです。

傷口や空気が湿っていると、病原菌が入り込みやすくなります。


ハサミなどの道具は消毒してから使う


剪定バサミなどの道具を使うことで、別の株や作物に付いていた病原菌を媒介してしまうケースもあります。

ハサミはできるだけこまめに消毒しながら使いましょう。

自動で消毒液を噴射するなどの機能を備えた商品も販売されていますので、ホームセンターや農業資材店でチェックしてみてください。

このお悩みの監修者

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

琉球大学農学部を卒業後、和歌山県庁に入庁して農業改良普及所の技師や、果樹試験場の研究員などを歴任し、2009年退職。同年、農業生産法人「有限会社神内ファーム21」に入社し、南方系果樹の研究を経て、2015年から南九州大学環境園芸部果樹園芸学研究室の講師に。2021年同大学・短期大学の学長に。2022年5月、学長退任後も教授として引き続き学生を指導する。

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