私は長崎県で養殖業の会社に勤めています。
主にアジやサバを扱い、季節によってはマグロも養殖しています。
自分の育てた魚がおいしく食べてもらえるように、精魂込めて育てています。
その中でコストについて悩みがあります。それは餌代です。
時期によって出荷量に多少のばらつきがあるため、十分に成長している魚も、売れ残った魚はしばらく飼い続けなければいけません。
しかし、その分餌代がかさんでしまうのです。
現在、主に冷凍エビや小女子(こうなご)、原料を膨張させたEP(エクストルーダーペレット)飼料を餌として使っていますが、他に安くて良い餌はありませんか?
また、餌以外にもよいコストの削減方法があれば教えてください。
(長崎県・相川さん/仮名・50代)
馬場 治
東京海洋大学名誉教授
給餌量と魚の成長速度を小まめに記録し、無駄な給餌を避けよう
養殖業にとってエサ代の負担の大きさは、ある種宿命のようなものだと考えなければなりません。
エサ代を削減する方法として、これ!というものはありませんが、例えば養殖業者同士が連携してエサを共同購入すると、購入量が多くなり、餌業者と値引き交渉を行う余地が出てくるかもしれません。
また、地道な方法ですが、魚のエサ食いの状況をよく観察しながらエサを与えるやり方もあります。時間はかかりますが、魚のエサ食いの状況をよく観察しながらエサを与えることで、食べるときにはしっかり与え、食べないときは無駄に与えず、結果的に最適な給餌量が実現でき、魚の成長を早められることがあると言われます。
このような給餌方法を用いたことで、魚を同じ体重に成長させるのに要する期間が1年短縮できたという例もあります。
しかし、時間を要しますので、必ずしもこれが効果的な解決策とはなりません。やはり、給餌量と魚の成長速度を小まめに記録し、無駄な給餌を避けることが大事だと思います。