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定置網をしていますが二重潮はどう対策すればいいですか?

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定置網をしていますが二重潮はどう対策すればいいですか?

最近、定置網船に乗り始めたばかりの新米漁師です。

この前、先輩漁師から「二重潮」という潮の流れが逆方向に流れる現象があると聞きました。

潮の流れは日によって異なりますが、同じ海域なのに上と下で逆方法に潮が流れることなんて、あるのでしょうか?

二重潮で被害を受けた定置網船もいるそうなので、どうすれば対策できるのか、教えてください。

石戸谷 博範

海と定置網の研究室

急潮の対策には、台風時には網を撤去し、日頃から水中の網の状態も確認しましょう

二重潮とは?


海上には、海の上に線を引いたように伸びる潮目が発生しています。

この潮目には流れ藻やゴミなどが集まるため、その下にいろいろな魚の稚魚や小魚も集まってきます。

この潮目が形成される要因は2つあります。

1つが、沿岸を流れる潮流が半島や湾、海底の障害物などにぶつかって、流れる方向が変わり、沖を流れる潮流とぶつかります。このとき、その潮目を境にして双方の流れが変わります。

2つ目は、風や温度によって潮流が起こり、それが沖と沿岸で変わる場合です。

潮目は垂直方向の潮の流れで起きる現象ですが、流れのスピードや方向が違う層ができたとき、「二重潮(ふたえじお)」になります。

海洋の上層と下層で潮の流れる方向が異なってしまう二重潮は、「逆潮(さかしお)」や「重ね潮(かさねじお)」「二枚潮(にまいじお)」とも呼ばれ、上層の潮を「上潮」、下層の潮を「下潮」あるいは「底潮」と呼びます。

山口県近海や対馬海峡一帯に多く発生する傾向があり、台風通過後の海水温の温度差が大きくなるときや気圧の変化、水の流れがぶつかる時などに発生します。


二重潮による定置網の被害


二重潮などの時に起こる急潮(一般的に流れの早い潮)が発生すると、定置網が土台から流されたり、網が切れたり、破れたりする場合があります。

定置網の主側張や垣網のワイヤーロープが切断されるなど、重大な被害につながることもあり、漁が行えなくなるだけでなく、補修や撤去作業も行わなければいけなくなります。


二重潮の対策


潮目のあるところは魚が集まりやすいという特徴があるものの、対流がぶつかる可能性がある場所には、定置網を設置しないのが対策になります。

また、急潮の対策には、定置網を海域の波浪や急潮に耐えれる設計強度にして、台風が来るときには予め網を撤去し、見えない海中部分なども日頃から管理を行いましょう。

定置網のメンテナンス方法についてはこちらをご覧ください
定置網のメンテナンス方法はどうやってやるべき?

このお悩みの監修者

石戸谷 博範

海と定置網の研究室

定置網漁業学の専門家。2009年水産海洋学会より「相模湾における急潮と定置網漁業防災対策に関する研究」で宇田賞を授与。定置網漁業に関する国、地方、業界の各委員を務め、日本沿岸各地の地域活性化に取り組んでいる。博士(東京大学農学)。

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