急潮が定置網に与える影響とは？急潮の原因や対策が知りたい

急潮は台風や黒潮が原因で引き起こされる！被害軽減のために日ごろから備えよう

急潮の特徴

急潮とは、突発的に発生する強い流れのことです。

急潮が発生すると定置網のロープや網などが破損して大きな被害になることがあります。

急潮被害によって復旧まで時間を要したり、漁具の修理で多額の費用がかかったりするため、定置網漁師が心配する問題の一つとなっています。

急潮がおこる原因

台風や低気圧

急潮がおこる原因に台風や低気圧があります。

台風などの風によって生成される沿岸に沿った流れが急潮を引き起こすと言われています。

この場合の急潮は、台風や低気圧が通過した後、半日から1日後に起こることが多いです。そのため、台風が去って天気が晴れていても急潮には注意が必要です。

黒潮

急潮は黒潮が原因でおこるケースもあります。

黒潮の本流から分岐した暖水が沿岸に沿って流れてくることで、急な海流の変化が引き起こされます。それによって急潮がおこり、定置網に被害をもたらします。

内部潮汐

潮の満ち引き等により周期的に流れの向きが変わることで引き起こされる現象を内部潮汐といいます。

この内部潮汐が急潮の原因となっている場合もあります。

内部潮汐が原因となる急潮は、東シナ海・相模湾・駿河湾などの比較的深い海域で見られることが多いです。

定置網における急潮への対策

網・側張の付着物の汚れ除去

急潮の際は、定置網の網や側張に付着物等の汚れがあると、水流の抵抗をより受けやすくなります。

そのため、少しでも水流の抵抗を減らすように日ごろから網や側張などの清掃や点検をしておきましょう。

ロープや網の変更

急潮時には定置網の各部に大きな力がかかります。

特に主側張りに大きな力がかかるので、ワイヤーロープを太くして強度を上げておくことがおすすめです。

また、定置網の網の目を可能な範囲で大きくすることで水流の抵抗を減らせます。漁獲に影響がなければ網の目を大きくする対策も有効です。

事前に網を引き揚げる

急潮を予測システムで知らせてくれる地域（神奈川県・福井近海）も増えてきました。

急潮を事前に予測できたのなら、登網や箱網などの一部の網を引き揚げておくと急潮の対策になります。

網を撤去することで定置網全体にかかる水流の抵抗を減らせるため、安全を確保しながら可能な限り行えるとよいでしょう。

また、箱網内の漁獲物を水揚げしておくことも効果的な対策の一つです。

定置網の急潮被害例

急潮による被害は全国各地で報告されています。

1996年には相模湾の沖合を台風が通過したことで急潮が発生し、被害がおきました。最大1.6ノットの急潮によって定置網のワイヤーロープが破断するなどの大きな被害となっています。

また、2022年には福井県で急潮が発生し、定置網の網が破れるなどの被害がおきました。被害総額は2億6千万円以上とされており、定置網が操業できず水揚げ量の減少にもつながっています。

急潮が定置網に与える影響を理解して急潮への対策をしよう

突発的に発生する急潮は、定置網の網やロープを破損させ甚大な被害を与えることがあります。

急潮の原因は主に、台風や低気圧の通過・黒潮・内部潮汐です。

過去の経験や研究から急潮の発生予測ができるようになってきたため、事前に定置網の網を引き揚げるなどの対策をすると急潮の被害を減らすことができます。

また、日ごろの対応としては、漁具の点検・清掃をしたり、ワイヤーロープの強化をすることが効果的です。

急潮が定置網に与える影響を理解して、定置網漁の急潮対策を検討してみてはいかがでしょうか。