ホタルイカの定置網について教えてほしい

ホタルイカの定置網漁は「マント網式」とも呼ばれ、品質を保ちながら漁獲できます

ホタルイカの定置網漁とは？

ホタルイカの定置網漁は「マント網式」と呼ばれる漁法で捕獲されています。

沖に向かって昇り網、箱網が装備された定置網を浮かべて、ホタルイカを捕獲する漁法です。


ホタルイカは通常、沖合の水深200m～400mの深海で生活していますが、産卵のためにメスのホタルイカは、岸近くまで移動してきます。

産卵を終えたメスのホタルイカは、暮らしている深海に戻ろうとしますが、そのタイミングで、定置網に誘導し捕獲します。

そのため、漁獲するのはメスのホタルイカになります。

ホタルイカの定置網漁が行われている場所・時期

ホタルイカの定置網は、富山県のみで行われており、富山湾沿岸の新湊や四方、岩瀬、水橋、滑川、魚津などで主に実施されています。

富山県では、ホタルイカが産卵期を迎える3〜6月の期間に定置網漁を実施します。

そのため、他県で漁獲されるホタルイカよりも魚体が大きいことが特徴です。

なお、富山以外の地域では、ホタルイカを「底引き網漁」で漁獲していることが一般的です。

底引き網漁とは、袋状の網を海底まで沈め、船で引っ張りながら魚を捕獲する漁法です。

船で移動しながら実施するため、定置網漁より効率的にホタルイカを捕獲できます。

ホタルイカを定置網漁で捕獲するのは、底引き網漁に比べてどんなメリットがあるのでしょうか。

ホタルイカを定置網漁で捕獲するメリット

メリット：品質を保てる

ホタルイカを定置網漁で捕獲することで、品質を落とすことなく鮮度を保てるというメリットがあります。

底引き網漁は、海底から網を引き上げる際の水圧や水流の変化によって、ホタルイカの品質が落ちてしまうことがあります。

しかし、定置網漁は水揚げの際にホタルイカの魚体が傷つきにくく、ストレスを最小限に抑えて捕獲できます。

メリット：作業時間が短い

ホタルイカの定置網漁は、比較的短い時間で作業を完了できます。

2〜3隻の船で夜明け前に出港し、30分ほどで漁場に到着します。設置されている網を機械で巻き上げ、氷とともに船倉に入れます。

この一連の網起こし作業は、1〜2時間ほどで終了できる業務です。

他の漁法は、船の上で生活したり深夜の出航が必要だったりと、生活リズムが定まらないことがあります。

メリット：廃棄物が混入しにくい

ホタルイカの定置網漁は、魚が網に迷い込んでくるまで待機する漁法のため、廃棄物の混入が少ないこともメリットの1つです。

底引き網漁は、大きな袋状の網を海底から引っ張りあげるため、獲りたい魚以外の ビンや缶など廃棄物が入ってしまう傾向があります。

近年では、網の構造を工夫して資源を守る取り組みも行われているようです。

ホタルイカ以外のイカ類の定置網漁についてはこちらをご覧ください
「定置網ではどんなイカが漁獲できる？」