漁協の職員や漁師仲間と話していると、たまに「スマート漁業」について話題になることがありますが、漁師にとってデメリットやリスクはあるのでしょうか?
ITの力を利用して漁が行えたら、もっと効率的に仕事ができる気はするのですが…。
デメリットも知った上で取り入れたいと考えています。
スマート漁業にデメリットがあるのであれば、教えてください。
漁協の職員や漁師仲間と話していると、たまに「スマート漁業」について話題になることがありますが、漁師にとってデメリットやリスクはあるのでしょうか?
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麓 貴光
株式会社水土舎 代表取締役
人材不足や導入コストが問題になります
人材の不足
スマート漁業のデメリットのひとつに、デジタル機器の操作が必要になる点があります。
デジタル機器を使いこなすためには、ある程度の知識や経験が必要です。
ベテランの漁師さんなど、普段デジタル機器をあまり使用しない人が使うには、サポート体制やITに精通した人材が必要となります。
データの扱い方が変わる
スマート漁業の機器を導入すると、これまで記録してきた操業日誌や漁獲量、気候情報などのデータを、機械が取得していくことになります。
そのため、これまでデータを紙で保管してきた場合は、端末を使って確認しなければならず、使い勝手が大きく変わります。
また、スマート漁業の機器を導入することで、情報を一元化できたり、どこにいてもデータを確認できたりなどのメリットはありますが、機器の取り扱いに慣れるまでは、時間がかかります。
データの扱い方が変わることで、漁を行うだけで手一杯で、手が回らないという漁師には難しい問題になるでしょう。
導入費用が高い
スマート漁業の導入には、初期投資が必要になります。
また導入したとしても、導入初期の段階ではデータが不足しているため、効果を感じにくいという場合もあります。
長い目で見れば、人件費の削減やコストの削減などが実現できるものの、導入初期はむしろコストが増大する点に注意が必要です。
しかし、スマート漁業はたくさんの企業や研究機関が携わり、開発を進めています。
現在は人材不足やコスト面で課題が多く残るものの、今後開発が進んでいけば、「誰でも簡単に操作できるシステム」や「低コストで導入できる機器」が実現できるかもしれません。
スマート漁業の事例についてはこちらをご覧ください
「スマート漁業ではどういった事例がありますか?」
このお悩みの監修者
麓 貴光
株式会社水土舎 代表取締役
株式会社水土舎 代表取締役。「食と環境」をテーマに、水産物のマーケティング支援や販路拡大、事業活性化などのコンサルティングを行なっている。