米と野菜を作る40代農家です。
以前は自分の家で食べるだけの田んぼだったのですが、父の代になってから規模を大きくするようになりました。
現在では、地域の方々の田んぼも預かるようになり、日々奮闘しています。
私の地域は、比較的小さい田んぼが集まっています。
そのため、田んぼ一枚一枚の生育状況を見極め、それぞれ柔軟に対応するよう心掛けています。
こうした水田地帯ですが、ところどころに、露地野菜の畑が点在する場所があります。
そういうところでは水田の水が畑に漏れてしまったり、農薬を使えば飛散が問題になったりと、時にはトラブルになることもあります。
農業従事者だけでは問題を解決できそうにありません。どうしたら良いものでしょうか?
(新潟県・芳野さん/仮名・40代)
伊東悠太郎
水稲種子農家
相手との仲を取り持つ仲介役を立て、賠償リスクには保険加入も検討しましょう
実は私も今年(2021年)、相談者さまと同じような経験をしました。隣の農家が畦畔に散布した除草剤が稲にかかり、枯れてしまうというトラブルです。
被害者になるばかりではありません。逆に、私が田んぼの水を止め忘れてオーバフローさせてしまったり、モグラが開けた穴に気付かずに隣の畑を水浸しにしたりという苦い思い出もあります。
農業をやっている以上、いくら注意してもこうしたトラブルは、完全には防げません。実害があるものについては第三者に損害額を評価してもらい、補償するのが良いのではないでしょうか。ちなみに、私の場合はJAが間に入ってくれました。
農薬のドリフト被害をはじめとした、さまざまな賠償リスクを幅広くカバーする農業者専用保険もあるので、検討してみてはいかがでしょうか?
また、基本的なこととして、ドリフト(飛散)対策としては、「風の強いときは散布しない」「できるだけ狙ったポイントだけに散布する」「飛散しにくい剤型を選択する」「ドリフト低減ノズルを使う」などを心がけると良いと思います。
散布する日や時間帯をあらかじめお知らせしておくことや、通勤・通学等の時間帯を避けるなどの配慮ができると、さらに良いですね。