以前まで製造業の営業マンとして働いていましたが、脱サラ。現在は、静岡県で新規就農して13年になります。
グリーンアスパラガス、ホワイトアスパラガス、キャベツ、玉ねぎなどの野菜を中心に栽培しています。
特に、主力のアスパラガスは、日本各地のアスパラガス産地を巡り勉強をして、独自の農法で栽培、全国に出荷しています。
6年前には株式会社にすることができました。
昨年、鮮度にこだわったアスパラガスの包装資材を新たに開発して、直販や飲食店さん向けの卸しで使用したところ、客先からも同業者からもとても評判が良かったです。
もしできるのであれば、サイドビジネスとして展開したいと思っています。
こういったオリジナルの包装資材で知的財産権を取得するためには、どうすれば良いのでしょうか?
(静岡県・神保剛志さん/仮名・40代)
大場寿人
三宅坂法律事務所 パートナー
まずは包装資材のどの部分を知財で守りたいか、考えましょう
知的財産権にはさまざまな種類がありますので、その特徴を知っておくと良いでしょう。
例えば、音楽や絵画など、作品を創作した人が有する「著作権」、製品や商品のデザインを保護する「意匠権」、商品やサービスの目じるしを保護する「商標権」、物の形状や構造などのアイデアを保護する「実用新案権」、高度な発明を保護する「特許権」などがあります。
包装資材についての知的財産権というご相談ですが、まずは包装資材のどのような点を法的に保護したいのかを考えてみてください。その包装資材のデザインなのか、機能性などのアイデアなのかによって、どの知的財産権を取るべきなのかが変わってきます。
そのデザイン(意匠)を保護したいのであれば「意匠権」の取得を検討することになります。意匠権が認められるためには、既にあるデザインのコピーや類似品ではない、オリジナリティのあるデザインであることが必要です。
また、公表されていない新しいデザインである必要があります。既に販売していたり、インターネットなどでデザインを公表している場合は登録が難しくなるので注意してください。
相談者さんの場合、すでに包装資材を流通されているようですので、残念ながら、新たに意匠権を取得することは難しいでしょう。
包装資材の機能性などのアイデアを保護したいのであれば「実用新案権」の取得を検討してみてください。
「実用新案権」は、物の形状や構造等の新しいアイデアを保護するものです。例えば、野菜の包装資材としては、通気口を設けることで鮮度を保つことができるアイデア、レタスの芯の部分を囲って固定することのできる底面部の形のアイデア、天面の凹部と底面の凸部を合わせることで荷崩れを防止することができるアイデアなどは、既に実用新案権が登録されています。
登録済み又は出願中の知的財産権については、「特許情報プラットフォーム J-Plat Pat」で簡単に検索できますので、ご自身でもご覧になってみてください。
なお、農産物では、ブランド名を商標登録する例も少なくありませんので、そのような検討をされるのもいいでしょう。
知的財産権を取得することができれば、そのデザインやアイデアが法的に保護されますので、他人がこれを勝手に真似することができなくなります。また、これを使いたいという人がいたら使用料をもらうこともできます。
なお、知的財産権の登録出願には専門的な知見が必要ですので、弁理士に依頼することをおすすめします。