群馬でぶどう農園を営んでいます。
例年はシーズンになると、直売だけでなくぶどう狩りに来るお客さんがたくさんいましたが、現在はお客さんが激減し、直販についても苦戦しています。
直販を強化して行きたいのですが、なかなかチラシや有料広告は打てないので、SNSを活用しようと思っています。
直販のお客さんは幅広い世代、ぶどう狩りに来るお客さんは、ファミリー層やカップル、学生が多く、特にこれから長いお客さんになってくれそうな若年層にアピールできればと思っています。
SNSは、Twitter(ツイッター)、YouTube(ユーチューブ)、Instagram(インスタグラム)、TikTok(ティックトック)などさまざまなサービスがありますが、若い世代への浸透率や手間を考えて、写真で農園の魅力をアピールできる、Instagramを活用するのがいいのではないかと個人的に考えています。
参考にしたいので、Instagramを活用している他の農園さんは、どのようにやっているのかを伺いたいです。
(群馬県・木島くるみさん/仮名・40代)
村瀬雄太
ファームコネクト
農業にSNSは必須。Instagramの特性を理解し頻繁に更新していきましょう
これからの時代、農業においてもSNSは必須アイテムといっても過言ではないでしょう。当社がサポートしている農家さんは、レシピや栽培の過程をメインにInstagramに投稿されていますが、最近は農作物の売買もInstagramからの取引が多いようです。
ひと口にSNSといっても、さまざまな種類がありそれぞれ特徴が異なります。まずはそれを知ることから始めましょう。
リツイート機能による拡散性が特徴のTwitterは、農園(商品)をたくさんの人に知っていただくのに最適です。
実名登録によるアカウントごとの信頼性の高さが特徴のFacebookは、個人向けのアカウントのほかに、企業や事業者向けのアカウント登録もあり、エリアや世代を絞った広告が簡単に出せるのが特徴です。
動画で農園のレシピや収穫の模様などを紹介したい場合は、YouTubeがおすすめです。
そして相談者も活用していきたいと考えているInstagramは、拡散性は低いものの、画像・短尺動画で視覚に訴えられること、ストーリー機能があることで幅広い人に見てもらうことができるのが特徴です。
Facebook同様、企業向けのアカウントではリーチ数(ページを見た人の数)を特定した広告を簡単に出すことが出来ます。
また、ショッピング機能・地図機能があることから、個人向けにモノやサービスを提供するビジネスに最適です。
加えて、InstagramのアカウントをFacebookやTwitterに紐付ければ、Instagramで投稿すると紐付けたSNSで同時にアップすることもできるので、その点も利便性が高いと言えます。
次に、実際にSNS運用の中で気づいた「直販につながるインスタ活用方法」の大切なポイントをお伝えします。
今でこそ企業アカウントも増え、幅広い年齢層が利用するようになったInstagramですが、もともとは「インスタ映え」という言葉もあったとおり、ほかのSNS以上に世界観が重視されるSNSです。
お知らせや商品のPRばかりすると一瞬で引かれてしまうので、売りつけるのではなく買いたい気持ちにさせることが大切です。
具体的には、お客さまの声を積極的にシェアしたり、作物の栄養素・レシピを投稿したり、ぶどう園であれば果物狩りの様子をリール(短尺動画)で紹介することで「食べてみたい、行ってみたい」と感じさせることができるでしょう。
また、幼稚園の収穫体験や食育の様子、環境保全活動など、社会貢献活動といった応援したくなるコンテンツもおすすめですよ。
その他にも、農家の人柄や就農経緯、どんな想いで営農しているのか、農園の雰囲気といったものを投稿するのもいいですね。
商品だけでなく、売り手ごと選んでもらうイメージです。楽しそうな農園の雰囲気が全面に溢れている「中西ファーム」さんのInstagramが良いお手本になるでしょう。
そしてInstagramは、どれだけコンテンツの質が高くても投稿頻度が低いとなかなか伸びていきません。
やはり「継続的な投稿」が重要になってきます。投稿頻度が少ないと「発見」という、おすすめユーザーを表示させる箇所に表示されにくくなります。
継続的な投稿は「この作物ならこの農園」と印象づけるメリットもあります。ぜひ継続的に投稿をして「ぶどうといえば〇〇農園」と想起してもらえるような存在になりましょう。
また、投稿にハッシュタグ(#)をつけ、検索に引っ掛かりやすくするのも効果的です。
またコメントへの返信や、いいねの数を見て投稿の改善を重ねるなど、地道な努力を厭わないことも初期段階においては大切です。
「発見」に上がってくるようにする為には、投稿に対するコメントや「いいね」など一定の反応が必要ですが、最初は何もない状態なので、こちらから他の投稿に「いいね」やコメントをする努力も必要です。
Instagramには場所のタグづけ機能もあるので、直売所や観光農園などを経営している農家は有効活用すると良いでしょう。