果樹園でカラスの被害に悩んでいる人は多いのではないでしょうか。
私は桃とぶどうの観光農園をしているのですが、カラスが収穫期の畑にやってきては、桃とぶどうをつついて売り物にならなくしてしまうので、とても腹が立っています。
観光農園ですので、カラスが飛んでくる昼間は、お客さんがいるため音を出して追い払うことはできません。
また、私は器用ではないので、流行りのドローンで追い払うのも無理だと思います。
インターネットで対策方法を調べたところ、ロボット掃除機のように下草を自動で刈ってくれるシステムがあるらしいのですが、それを活用してカラスを威嚇し、被害を防ぐことができないでしょうか。
それができるなら、人手が足りずに負担がかかっている下草刈りの手間も省けて、一石二鳥なのですが…。
(山梨県・下田さん/仮名・50代)
古谷益朗
野生生物研究所ネイチャーステーション
カラスを自動草刈り機で威嚇するよりも、棚上に黒糸を張って対策するほうが効果的なのでお試しください
まず、カラスを含め野生の鳥獣は、身の危険を感じなければ逃げません。
自動草刈り機は自動で動いているだけでカラスに危険を与えることはありませんし、ましてや果実は樹上にあるのに対して草刈り機は地面のみで動いていますから、カラスが身の危険を感じることはないでしょう。
つまり、自動草刈り機によるカラス撃退の効果は期待できませんね。
よく、耕耘機や草刈り機で作業しているすぐ後ろでサギやカラスなどが群れている光景が見られるのですが、それは鳥たちが、耕耘機や草刈り機で作業することでエサとなる昆虫などが追い立てられて出てくるのを狙っているためです。
なお、ブドウ棚のカラス被害を防ぎたいなら、棚上に50cm程の空間を開けた上に黒糸を1m間隔で張ってみてください。
私の知り合いのブドウ園では、以前は棚全体をネットで覆っていたのですが、管理が大変になって黒糸に変えたところ、まったく被害が出なくなったそうです。
ただし、黒糸の近くにカラスが止まれる足場(樹木など)があったりカラスが糸を視認しやすかったりすると、効果は落ちるそうなので注意しましょう。