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畑に岩塩を撒くと作物の糖度があがったり、病害虫に強くなるというのは本当ですか?

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畑に岩塩を撒くと作物の糖度があがったり、病害虫に強くなるというのは本当ですか?

ミニトマトを中心に果菜類栽培を行っています。15年間農協への卸や直売所での販売を中心に行ってきました。

「自然物由来の肥料を使う」を信念に、当初から油粕や牛糞堆肥などを使って育てられた作物は旨味と甘味があると好評です。

しかしここ数年、異常に暑かったり、長雨が続く日が多かったりと、ミニトマトの食味がかなり悪くなっている傾向にあります。

甘味を向上させたいということを肥料業者に相談したところ、農業用岩塩を撒く方法があることを教えてもらいました。

昔ながらの農法しか知らない私としては、畑に塩を入れるのはあまりよくないように思います。

しかし業者が言うには、実際に作物の糖度が上がったり、病害虫に強くなったりした例があるそうです。畑に岩塩を撒くメリットは何なのでしょうか?
(京都府・遠藤さん/仮名・70代)

宇田成徳

宇田技術研究所

海の塩を使った塩まき農法なら、収量があがり、おいしくなり、大きくなります

私は大阪・能勢町の約10,000平米の農園で、自ら発案した「塩まき農法」を実践し、収穫した米や野菜をインターネットショップや道の駅で販売しています。

品目は6,000平米がコメで、4,000平米がなす、さつまいも、里芋、玉ねぎ、にんにく、にんじん、ごぼう、きゅうりなどの野菜です。

ご相談者さんは「岩塩」とおっしゃっていますが、岩塩はあまり推奨しません。

土に閉じ込められている岩塩は、土壌にヒ素が残っている可能性がある場合、何ppmとわずかですが、平均値を上回る場合、安全性に問題があります。

したがって、私自身の意見ですが、岩塩ではなく、海の塩を推奨させていただきます。

私の発案した塩まき農法では、一般的に「1反あたり200kg」の塩をまきます。もともと収量が平均より多い畑なら1反あたり75キログラムでもOKです。

塩の量は、あくまでも一般的なめやすで、粘土質の土壌や水はけなどの条件により、調整が必要になります。

土壌条件によっては、反200キログラムは撒きすぎで、塩害の可能性もあるため、細心の注意を払うようにしましょう。

私を含め、塩まき農法を実践した農家から、以下のようなメリットがあったと報告を受けています。

ひとつめは、収穫量が上がるということです。

データを見ると、平均で収穫量が1.5倍になります。実践前に100個だったら、塩まき農法実践後には150個になるということです。

次においしくなるということ。コメの食味が、75点から85点になりました。

また、果物の糖度が最低でも2度上がりました。単に糖度が上がるだけでなくコクも増してバランスがよくなった。コクとは、作物独自の味。例えばミカンでは、糖度だけでなく酸味もバランスよく向上する傾向にあります。

最後に大きくなる点ですが、2kg台だった白菜が5kg台のものを収穫できるようになりました。

これについては規格サイズもあるので一長一短ですが、例えば加工野菜の場合ですと、歩留まりが良くなり、大きなメリットになります。

塩まき農法がなぜこのような効果を生み出したかについて、私がこうではないかと考えている推察を記します。

あくまで個人の意見ですので、参考程度にお聞きください。

もし、人間が「あなたはこれから塩ゼロで生活してください」といわれたら死んでしまいますよね。

命は海から誕生しました。私は、太古の海水の塩分濃度は0.9%だったんではないかと考えています。なぜなら進化した人間の体液も同じ0.9%です。塩は生物にとって必要なものなのです。

私個人の考えですが、土に塩を混ぜることで、土の中の微生物を活性化して、土壌バランスを整えていると思います。

人間の消化酵素のように、植物は根のまわりに酵素が存在していて、畑の中の養分を加工して取り込み、作物が身につけるのだと思っています。そう考えると矛盾がない。

では塩まき農法が思ったように広まらないのはなぜか?それにはふたつ理由があります。

ひとつは、実践した人が「良すぎて他の人に言わないから」ではないかと思っています。

実は塩のメリットを知っている農家は多いのです。私の元にも、大阪や兵庫、和歌山、三重、奈良など関西圏を中心に、北は青森、埼玉、岐阜からも学びに来る方がいました。

さらに、九州地方の海沿いなど、もともと塩分濃度の高い地で栽培している人や海岸沿いの農地で潮をかぶった人なども、塩まき農法の良さを知っている方がいますが、そういう人たちは、この農法でいい作物が取れることをいいたくないので広まらないのではないでしょうか。

二点目は、これも推定ではありますが、「農業の専門家が薦めないから」です。

窒素肥料のひとつに硫安(硫酸アンモニウム塩)がありますが、これは硫酸とアンモニウムの+(プラス)と−(マイナス)のイオンが化学反応を起こして安定するものですが、水に非常に溶けやすい性質を持っています。私の考えでは、硫安を土にまくことで、水分と化学反応を起こして、イオン化された状態のものを、根のまわりの酵素が加工して、植物に吸収されていると思います。

化学的には塩化ナトリウムも、似たような性質を持っています。塩をまくと土壌の水分と化学反応を起こして、EC値(電気伝導率)が上がります。その結果、窒素のような肥料ではないのに、土に含まれる栄養分を吸い上げてしまうので、2~3年もすればやせ地になってしまうと考える専門家がいるのです。

私自身、「塩をまくと作物ができなくなる」と話す専門家に出会いました。このため、私の元で学んだ農家が、塩まき農法に挑戦してみても、専門家の意見を聞いて断念してしまったり、そもそも最初からやってみようと思わない人もいます。

その一方で、塩まき農法の魅力に気づいた農家は全国におりますので、そういった方々にはオーストラリアから取り寄せた塩を販売しております。年間50〜60トンくらい塩を扱っています。

なお、私が塩まき農法で栽培した作物は、ミネラル野菜としてインターネットショップでも販売していますので、興味を持たれたらお試しください。

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