農業関連の団体に非常勤で勤務しています。兼業で、叔父夫婦が経営する野菜と米の小さな農園も手伝っています。
叔父夫婦には実子がいないため、10年ほど前から未婚の私が手伝ってきました。
当初から叔父には「将来的には農園を継いでほしい」と言われていて、親戚からも「叔父兄弟の次男である私が次ぐのだろう」と見られています。
しかし、非常勤で年収も300万円台と薄給ではありますが、団体の職員ですし、継ぐか継がないか決めるのは私次第だと思っています。
なんとなく、結論を先延ばしにしてきましたが、年数を重ねるうちに農地を守りたいという思いが強くなってきています。
そんなとき、「農業経営を継承した後継者に100万円支援される制度」があると遠い親戚に聞きました。
どんな制度なのか、支給される条件はあるのか、など教えていただきたいです。叔父も年なので、できるだけ早く後を譲りたいと言っています。
(新潟県・梶原さん/仮名・40代)
高田裕司
日本プロ農業総合支援機構(J -PAO)上席コンサルタント
親子や第三者などでも構いません。その他の要件も確認しましょう
質問者さまのおっしゃるように、農業の経営継承に関して、100万円を上限とする補助が受けられる「経営継承・発展支援事業」が2021(令和3)年度からスタートしました。
どこから資金が出るかといえば、国と市町村が2分の1ずつを負担する仕組みです。
この補助は公募制なので、ご希望であれば、それぞれの市町村に計画書(経営発展計画)を作成して申請しなければなりません。
当然のことながら、農業経営を継承すれば自動的に100万円が貰えるわけではありません。
この事業は、新しい販路の開拓や新品種の導入、省力化のための機械を導入するなどの継承後の経営発展に関する計画の取組みに要する経費を支援するものです。
事業の対象者は、地域農業の担い手(中心経営体等)である先代経営者(個人事業主又は法人の代表者)から、経営権の移譲を受けた後継者になります。
先代事業者との関係は問われず、親子でも第三者でも構いません。
それから、ここでいう「地域農業の担い手(中心経営体等)」とは、①実質化された人・農地プランに中心となる経営体と位置づけられた者、②市町村長が地域農業の維持・発展に重要な発展を果たすと認めた認定農業者などのことです。
さらに、「2020(令和2)年1月1日から、経営発展計画の提出時までに経営の移譲を受けた者であること」も要件のひとつとなっています。
すでに令和3年度は3次公募を終了しています(令和4年2月現在)。令和4年度も実施予定ですが、予算が令和3年度の15億円から1億円へと大幅に減額され、狭き門となりそうです。