神奈川県でキャベツ、大根、ほうれんそうなどをはじめ、多種類の野菜を作り続けています。
20代から始めて30年ほどが経ちました。現在は有機農業に力を入れています。
これまでは、誠実に美味しい野菜を作ることだけにエネルギーを注いできました。
ITやインターネットなどの進化、ブランディングについての知識などには、まったくついていけておりません。
しかし、最近の時代の大きな変化についていけず、だんだんと経営について行き詰まりを感じるようになりました。
そこで思い切って農業コンサルタントに相談してみようと考えています。
仲間に農業コンサルタントのことを尋ねてみると、非常にイメージが悪く、不信感を抱いている人ばかりです。
もちろん良いアドバイスなどはもらえませんでした。
そこで、実際に農業コンサルタントを依頼する場合、事前の具体的なチェックポイントを教えていただきたいです。
また、もし契約することになった場合、このままですと相手の言いなりになってしまうでしょう。
そこで契約における大切な確認事項を教えてください。都合の良いことを言っているようですが、もしもうまくいかなかった場合の保証はどうなってしまうのでしょうか。
(神奈川県・金子大輔さん/仮名・50代)
藤野直人
株式会社クロスエイジ 代表取締役
相談内容を明確にして、導入する仕組みの効果を最大化させることが大切です
まず、何をコンサル(相談にのって)してほしいかですね。
中長期の方向性であれば中期経営計画が描ける「経営戦略」コンサル、販路開拓であれば「販売マーケティング」コンサル、商品開発であれば「商品開発・開発マーケティング」コンサル、数値化やデータ分析による業務改善をしたいのであれば「IT・業務改善」コンサル、生産分野(収量向上・糖度アップ・設備見直しなど)であれば「土壌・農業生産・農業技術」コンサル……。
農業分野で考えられるコンサルだけでもこのようなものがあります。
何をコンサルしてほしいのかわからない場合は「経営戦略」のコンサルに、もし具体的な課題が明確でしたら個別課題に強いコンサルに頼むといいでしょう。
闇雲にコンサルを探すのではなく、まずはご自身の課題や悩みを明らかにしてください。
コンサルに仕事を頼むときのポイントは、「どんな仕組みをそのコンサルはもたらしてくれるのか?」です。
コンサルに頼むとは、時間や経験を買うということです。半永久的に手伝ってもらうのではなく、数ヶ月から数年で「仕組み」を一緒に考えて作ってもらうことです。
例えば「中期経営計画や予算管理の方法」「相場に左右されない販路の構築」「6次化商品の開発」「PDCAを回す組織作り」「生産性の改善」など、これらはすべて「仕組み」です。
とはいえ、これらの仕組みを作ることによって、売上や利益を向上できるかどうかは経営者の責任です。コンサルがいくら頑張っても、経営者の課題認識がずれていると経営は良くなりません。
最後に気になる費用感についてです。コンサルフィー(コンサルに払う費用)も相談する相手によって大きく変わってきます。
農業資材メーカーや設備メーカー、商社などは費用をとりません。管理アプリや分析サービスなどといった場合、システム利用料として一定の月額料金が発生します。
そして、今回の相談のような場合は、「定額報酬型・時間型・成果報酬型」などの料金体系があり、月額数1000〜10数万円、またはスポット(単発の依頼)で30万円など多種多様です。
単純に高いか安いかでなく、「どれくらいの利益向上を見込むのか?、そのためにいくら投資できるか?」と考えればいいでしょう。
つまり100万かけても、毎年プラス200万稼げるなら安いですし、10万円かけて何も変わらないなら高いわけです。経営者は投資に対して効果を最大化することを考えてください。