父から継いだ農地で専業の米農家をしています。
友人に頼まれて耕作していた田んぼが売りに出され、最近買い手がついたそうで、買い手の会社が倉庫を建築するそうです。
先日、行政書士?が来て、倉庫を建設する計画の説明と、「確認した」の一筆が欲しいと話をされました。
倉庫は田んぼの東側に建築予定で、面積から見ると15aくらいの大きさのようです。
平屋建てで高さは6mのため「日照不足の心配は考えにくい」と言われましたが、その他のトラブルを含め、農作業になにか影響がでないか心配です。
こういった場合は、どのように対応するのが良いのでしょうか?
(徳島県・小林智隆さん/仮名・40代)
丸山達也
アドヴェルト行政書士事務所 CEO 代表行政書士
印鑑を押す前に、本当に問題がないのかきちんと説明を受けましょう
これまで私は、農地法の許可や農業振興地域整備計画の変更手続き(農振除外)など、農業経営に特化した支援を専門としてきました。
今回のようなケースも過去に取り扱っており、かつて北海道で酪農用施設の建設計画に関する地区の説明会を主催したことがあります。
説明会の時も、畜舎や堆肥場など臭気が影響する場所からはどんな方向で風が吹くか、防臭装置はどの程度、設置するか、汚水分離機からどのように汚水が流れるかなどを説明する機会を持ちました。
今回のご相談者のケースも同様、まず「新しく建てる倉庫は、どんな目的で、何を保管する倉庫なのか」と言う点を、所有者ないしは行政書士に説明する機会を求めることが重要です。
倉庫を建設する計画について、近隣の農地所有者から承認する印鑑が欲しいということは、農地転用の申請をしている可能性が高いです。
そうであるならば、「建設設計計画」や「何のための倉庫で、何を入れるのか、建坪率はどれくらいなのか」などについて説明を求める必要があります。
一度農地転用を許可されてしまい、倉庫が建設されると、過去の判例では「日照等の問題で農作物の収益が激減しても農地転用の許可自体を取り消す事はできない」とされています。
つまり、許可が出た後では何も言えなくなってしまいます。
もし印鑑の押印を拒否した場合は、農業委員会も周辺農地に影響があるかもしれないと考え、農地転用の許可自体、慎重になります。
一般論ではありますが、日照等本当に問題がないのか、きちんとした説明を受け、その上で納得できないのであれば、後々のためにも、押印すべきではないと考えます。