埼玉県で代々続く野菜農家の60代です。
両親と私ども夫婦の4名と、ときどき手伝いに来てくれる知人の数名でなんとかやり繰りしています。
私たち夫婦の考えもあり、幼少時から息子2人には「家業を継がなくてもいい」と伝えてきました。
会社員の長男は結婚し、敷地内に新居を構え、次男は海外留学をしています。農家は私の代までということになりそうです。
親も高齢になりましたので、営農規模の縮小を考えはじめました。登記簿上も、農地である土地の一部を宅地や駐車場にしようかと思っています。
まずはどこに、どんな手続きをすればよろしいでしょうか?
(埼玉県・早川宏行さん/仮名・60歳)
田中寛子
税理士・永光パートナーズ
農地転用には法的な規制あり。転用目的や収益性などを検討してから行動を
まず、農地転用とは、農地を人為的に農地以外のものにすることです。質問者様のように農地を宅地、駐車場に変える場合などがこれにあたります。
農地転用は誰もが勝手にできるわけではなく、「農地法」によって規制されます。それは、「農地は有限の存在であり、食料生産の基盤である」という考えにもとづいて農地を保護対象とするためで、所有者であっても自由に農地転用はできません。
また、具体的な転用目的のない投機目的、資産保有目的での農地の取得も認められません。
具体的な農地転用の手順としては、まず、地域の農業委員会を経由して都道府県知事に農地法第4条の許可申請をします。
質問者様の農地区分にもよりますが、「市街化区域内の農地」であれば、あらかじめ農業委員会に届け出ればこの許可申請はいりません。自己所有の農地(2アール未満)を農業用施設に使う場合も不要です。
それから、転用を考えている土地の用途地域、地区計画に合わせた活用方法を選択する必要もあります。
アパート・マンション経営には空き家リスクがあり、今後、空き家率は増加傾向とも言われています。
お持ちの土地周辺地域の状況、近隣物件の入居状況などを慎重に調査、検討したうえで判断なさることをおすすめします。
事業の収益性、安定性、初期投資額、節税対策などを考え、無理のない計画を立ててください。