大分で3代続く農家の40代です。就農前は東京で商売をしていたので、最新の情報に触れ、知識を常にアップデートする習慣を忘れないようにしています。
私自身は、いわゆるUターンをして家業を継ぎました。農家生まれとはいえ、一人前と見られるようになるまでには、相当の時間がかかりました。
これでは、畑違いの世界に挑戦しようとする新規就農者が安定した収入を得るようになるには、高いハードルがあると痛感しています。
前職の経験から得たヒントなのですが、飲食店などでは、「フランチャイズ」や「のれん分け」の制度があります。
うまくいっている農園や法人で農業技術や運営を学び、独立後もさまざまな支援が受けられるようにすれば、新規就農時の初期投資負担も抑えられるのではないでしょうか。
本家と分家の双方にもメリットがあるようにすれば、人材不足の解消にもつながるのではないかと思います。
「フランチャイズ」や「のれん分け」制度を農業に取り入れることはできないでしょうか。
また、すでにこのような取り組みをしているところがあれば教えてください。
(大分県・小玉さん/仮名・40代)
伊東悠太郎
水稲種子農家
「のれん分け」「フランチャイズ」に取り組む組織があり、今後も増加が見込まれます
私も、農業における「のれん分け」「フランチャイズ」は良い仕組みだと考えています。
新規就農者が農業法人において、一定年数にわたって経験を積んだうえで独立就農でき、販売は共同で行い、農業機械はシェアし、ブランディングは負担軽減できるなど、メリットや発展性は大きいと思います。
実際、そのような取り組みをしている農業法人は増えていると感じています。ただ、実態が「のれん分け」「フランチャイズ」でもそのような言葉を使っておらず、それを仕組化、制度化しているところとなるとごくわずかなのかもしれません。
今後、団塊世代の農業者が大量離農することに伴い、これらの仕組みがさらに広がり、農業法人が今よりももっと広く地域を面的にカバーしていくことになるはずです。それが良いかどうかについて別の問題もありますが、時代のニーズには適っていると考えます。
2015年に開始された「農の雇用事業」をご存じですか?
農業法人などが新規就農者である雇用者などに行う研修を支援するもので、一定の成果を上げています。
今後、そこで研修をした人たちの中から、次のステージに進む人が倍増すると予測します。
今は、そこに併せて、現状まだぼんやりとしている農業分野での「のれん分け」「フランチャイズ」につき、明確に仕組み作りしていく過渡期なのだろうと思います。