群馬県でキャベツを栽培している専業農家です。今年で76歳になります。
幸いにも息子のひとりが、後継者として農業を継いでくれることになりました。
私はまだまだ現役で働き続けたいと思っていますが、いつ何が起こるか分かりませんので、そろそろ後継者の息子への相続を考え始めなければと、重い腰をあげたところです。
農業仲間からは、相続税対策をしっかりやらないと農地を手放すことになったり、他の兄弟とのトラブルが発生したりするということを聞かされました。
我が家も例にもれず4人兄弟ですので、なるべくトラブルを起こさず、祖父の代から続く大事な農地を守りたいと思っています。
しかし相続税の軽減策はいろいろあるようで、この歳で全てを頭に詰め込み判断するのは難しいと感じます。
このまま仕事をしながら対策できることをやっていきたいのですが、あまり時間が取れないことにも不安があります。
どのようなところで相続税対策について相談すると、効率よく進めていけるでしょうか?
(群馬県・寺本和樹さん/仮名・76歳)
高田裕司
日本プロ農業総合支援機構(J -PAO)上席コンサルタント
相続についての大枠を把握したうえで、専門機関に相談を!
質問者さんのおっしゃる通り、相続時に相続人である息子さんへの税金が高額になり売却した農地の代金を納税にあてる例や、相続人である兄弟や姉妹間で争いになる例を耳にすることはあります。
家族間でトラブルを起こしたくない気持ちもよく分かりますし、そのようにならないための対策もさまざまなものがあるのでまずはご安心ください。
相談できる機関もたくさんありますし、早めに取り組むほど対策の選択肢も多くなることを念頭に、まずは行動あるのみです。
最初の取り組みとして、お住まいの地域内で相続や息子さんへ農業を引き継ぐこと(事業承継)に関する講習会を受講したり、相談窓口にて相続時にどんなことが起きるか、相続時には何が必要かということを相談することで、ざっくりと相続税の全体像を把握されてはいかがでしょうか。
その基本情報を入手したうえで、農業に特化した相続や事業承継分野に強い専門家(税理士など)へ相談し、支援を受けながら対策を考えていくと、効率よく対策をすすめていけると思います。
例えば群馬県内には、前橋市に農業に関する専門家の支援を受けられる機関として「群馬県農業経営相談所」があります。問い合わせ先は一般社団法人群馬県農業会議です。
また群馬県普及支援課では、その課の普及指導センターでも事業継承についての相談に対応することになっています。
群馬県の機関である最寄りの農業指導センターが窓口ですので、お近くにありましたらぜひ相談に行ってみてください。
もし質問者さんが何らかの融資を受けているなら、融資先の金融機関でも様々な相続、事業継承に関するサポートを行っている場合があります。
他にも、農業に限定していませんが、公的な相談窓口として「群馬県事業承継・引継ぎ支援センター」があり、無料で相続を含む事業承継支援を行っています。
「親族に承継したいのだが、どのようにすればいいのか」や「事業承継計画をどう作ればいいのか」を相談することができるので、ぜひ活用してみてください。